管理人の日記 〜2000年2月〜先月日記トップ翌月
2月19日(土) 第13回考古資料展 〜下谷戸遺跡が語る三ノ宮のむかし〜
 以前掲示板でもお知らせしたが、今週末伊勢原市の中央公民館で表記のミニ展示会が行われている。

 昨年の3月1日付けトピックスでも書いたように、文化財の宝庫といわれているにも関わらず伊勢原市には専用の公開・活用施設はない。そのため、公民館まつりや文化財保護週間などにあわせ、出土品や大山浮世絵等の資料の一部分を数日だけ公民館の1室で公開しているのである。

 何度か御手伝いしているので、今年もと思っていたのだが、合格発表と時期が重なってしまい、私が行ったときには既に資料が並べられている状態であった。今年は(財)かながわ考古学財団との共催で、財団が調査した三ノ宮・下谷戸遺跡の資料を中心に伊勢原市教育委員会で調査した三ノ宮地区の資料を加えて旧石器〜近世の遺物と写真パネルが展示されている。
 下谷戸遺跡は1965年の東名高速道路の建設に先立ち、國學院大學が調査し、弥生末〜古墳時代の住居跡や縄文後期の特殊遺構(現在は何種類かの敷石住居の周堤礫や環礫方形配石などが組み合わさった遺構と考えられている)が発見された。三ノ宮比々多神社に移築され市の史跡となっているが、今の目から見れば調査は未熟だといわざるを得ず、しかも、雑誌での簡単な概要報告だけで正式な報告もなく、市教委には僅かに数点の写真と全体の遺構図しか資料はない。詳細は全く不明である。
 そのような状態であったのだが、92年から東名高速道路の拡幅工事に先立ち両サイドを神奈川県立埋蔵文化財センター(のち(財)かながわ考古学財団)が調査し、旧石器時代〜草創期、中期〜後期、古墳、中世〜近世の各分野において大きな成果があった。(詳しいことは報告書が出た後「いせはらの縄文遺跡」で紹介したい)

 私は昨日の午前中受付の手伝いをした。展示やパンフレットには個々の遺物についての解説はなく、見た人の質問に答えるというスタンスのようなので、いろいろ質問される。歴史好きで周辺の展示会・講演会など見ていられる人の細かい質問には答えられないが、保育園の園児をはじめ専門的知識の無い人たちは、身近な観点から質問されることが多い。このような質問は毎回同じようなもので私にも答えられるようになってきて、とても楽しいものであった。

 また、毎回「触れるコーナー」があるのだが、今回は土器片や石器だけでなく、土偶やほぼ完形の椀、古代の皿など割と貴重そうな資料も手にとって触れることができる。また、財団・市教委それぞれ土器拓本や遺物の写真をデザインした「しおり」を作り配っている。お近くで興味のある方はぜひいらして下さい。

  2月20日(日)16:00まで 問合せ:伊勢原市中央公民館(0463-93-7500)


2月19日(土) 進路決まりました
 おかげさまで、國學院大學文学部史学科に合格することができました。御声援、本当にありがとうございました。

 歴史・考古・民俗の分野で定評のあるこの大学は、それぞれの専門書を開く度に執筆された先生の所属・出身校として名前を見てきたこと、全国に先輩がいること、そして、考古学のなかでも縄文時代の研究は随一であること、などの理由でずっと前からあこがれていた大学です。

 今のところ具体的なことは何も分かりません。しかし、これまでは「高校生」のサイトということで、注目していただいたところもあると思いますが、最近大学生のサイトが増えてきています。それらの中に飲み込まれないよう、一層の充実を図りたいと思います。
 今後ともよろしくお願い致します。


2月10日(木) 追悼 宮田登先生

2月7日(月) 祝 5000アクセス突破! 1周年!
 本日、5000アクセスを突破致しました。アクセスしていただいた皆様、本当にありがとうございます。
 そして、気が付けば当サイトを開設してから既に1年を過ぎておりました。

 この間多くの方からのメールで励ましの言葉や貴重なご指摘を頂戴致しました。
 今は記念企画は用意できませんが、4月からはより充実したサイトに生まれ変わりたいと思っています。

 今後ともどうぞよろしくお願い致します。


2月7日(月) 八ヶ岳縄文王国の危機
 昨夜、長野県の文化財担当の方からメールをいただいた。
 ・・・残念ながら、八ヶ岳山麓の茅野市、原村の縄文遺跡は、近年の圃場整備により壊滅状況にあります。遺跡だけではなく、台地の高いところを削って谷を埋めながら平坦部を造るため、八ヶ岳の裾野に広がる縄文的な景観までが失われていっています。・・・長野県教育委員会では、5年ほど前から、この開発事業から一つでも多くの縄文遺跡を残すため、地元教育委員会や長野県考古学会の助力を得て、詳細分布調査や試掘調査を行い、一昨年茅野市駒形遺跡を史跡に指定していただきました。  茅野市や原村には、まだ若干の著名な縄文遺跡が遺されていますが、もはや風前の灯火。これからの長野県の縄文文化研究は『報告書考古学』になってしまうのではないかと焦慮しています。さいわい富士見町には、井戸尻編年にも登場する著名な遺跡がまだ遺されていますので、今後、史跡指定に向けて準備をしているところです。・・・地方分権一括法案が可決され、いよいよ今年4月からは新しい文化財保護法が施行 されます。まさに、地域の文化財は地域がたいせつに守っていく時代に突入するわけですが、その矢先にあってはならない出来事と言わざるを得ません。・・・
 トピックス6月22日の新発見考古速報展の聖石遺跡についてと、先日の原村の事件についてのご指摘の一部である。国特別史跡尖石、国史跡阿久、井戸尻をはじめ、諏訪郡一帯の八ヶ岳西南麓は縄文遺跡の宝庫であり、私の憧れの地でもあった。本格的調査が行われたのは中央道関係程度かと思っていたのだが、圃場整備で遺跡が消えていっていき、しかも景観までも失われつつあるというのは非常に残念でならない。
 この地域は縄文集落論・領域論の絶好のフィールドでもあった。宮坂・戸沢・勅使河原諸氏の研究を見て、調査=遺跡破壊が行われていなくてもこのような研究ができるのかと非常に感激した覚えがある。それが消えてしまうという。「重要な遺跡(大集落)」だけでなく、それを支えた中小の集落、キャンプ地等などが一体となって残っているところに価値があるという指摘を聞いたことを思い出す。
 縄文王国を標榜する長野県らしい対応を期待したい。


2月5日(土) 古都の考古学 夢と現実 〜「あすか」を見て〜
 NHKの連続テレビ小説、暇なおばさん達が見るものと思っていたが、夏休み・冬休みなどには続けてみることも多い。そうすると、なかなか面白いものが多く新学期が来て見られなくなるのを残念に思ったものである。。
 現在放送されているのは「あすか」。京都の老舗を舞台とした菓子職人の女の子の物語であるが、その名の通り明日香村も重要な舞台となっており、そこで育った主人公の幼なじみとして「ハカセ」と呼ばれる青年も登場する。この「ハカセ」は小さい頃から考古学が好きな少年で、亀石をスケッチしたり、主人公に勾玉をプレゼントしたりするのだが、周囲の反対で建設会社に就職。それでも夢をあきらられず明日香村に通い、そのことが原因で恋人とも別れる羽目になってしまった。
 京都・奈良は文化財の宝庫であるが、逆に文化財だらけとも言える。数千年の伝統の上に現在の生活がある訳で、古都保存法をはじめとするさまざまな規制がかけられている。そんな古都で、夢と現実との間でゆれる「ハカセ」の姿はなかなか興味深いものである。そして今、大きな問題が現れた。
 毎回見ている訳ではないが、今朝見たら興味深い状況になっていた。主人公の両親が奈良にのれん分けすることになったのだが、その建設予定地で遺物が発見されたのだ。一度は胸のうちにしまおうとした「ハカセ」だが、主人公に「あなたの一番大事なものでしょう」と言われ、遺跡を発見したことを明らかにする。建設会社の上司は、そういうことはたまにはあるが、一々調査していたら金がかかって大変だというようなことを言う。主人公の父親は一応調査を認めるが、母親は費用のことを考え困惑する。
 遺跡をなかったことにしようとする建設会社の姿勢は論外で、部長をぶんなぐって「文化を守るといいながら」と社長に直談判しようとする「ハカセ」は格好いいのだが、一方で予想外の負担を抱えることになった側としては大変である。古都に遺跡があるのは当たり前だとも思うのだが、これは奈良に限ったことではあるまい。全国どこでもそのような状況はあるのだろう。原因者負担という原則は仕方ないといえば仕方ないが、それが原因で遺跡が抹殺されるような事態になるのは悲しいことだ。今後の展開が気になるところである。
 (見ているという人がどれだけいるか不安で、今回はいつになく状況説明が長くなってしまった。)

 連続テレビ小説「あすか」(NHK):あらすじ、キャスト、見所、和菓子の豆知識など。

縄文学研究室日記トップCopyright (c) 2000 Nakamura Kousaku
E-mail:info@jomongaku.net