管理人の日記 〜2001年1月〜先月日記トップ翌月

1月21日(日) シンポジウム前期旧石器問題を考える

 佐原真、小田静夫、春成秀爾、岡村道雄、馬場悠男という発表者の顔ぶれ、そして佐原氏も強調していたが、何よりも岡村氏の話が聞けるということで、日本教育会館で開催された文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「日本人および日本文化の起源に関する学際的研究」考古班主催によるシンポジウム「前期旧石器問題を考える」を聞きに行ってきた。

 小田氏は氏が携わった武蔵野台地の研究をもとに、「前期旧石器」遺跡への疑問点を指摘し、藤村氏が関与した資料は一端考えないで新に研究をすすめるべきだと述べた。
 春成氏は後世の耕作や発掘によってつけられたキズ(ガジリ痕)や剥離面に付着した黒土、筋状の鉄サビなどに注目した。ずっと赤土に埋まっていたはずの石器ならそのようなことはないはずであるが、いくつかの遺跡の石器に認められるということを具体的に遺跡名を挙げて指摘している。
 次に岡村氏だが、今後の検証で白黒のつかない資料をできるだけ減らすことが必要と述べ、その上で捏造の余地のない部分について特に氏が直接関わった馬場壇の例をあげて説明され、大枠は残るという見通しを示した。ただ、レジメでは藤村氏の成果への疑問点も述べられている。
 最後に馬場氏は、考古学界・考古学者の体質を批判した後、更新世人骨と考えられてきた日本各地の出土人骨にも怪しいものがあることを紹介した。

 討論では竹岡俊樹氏も登壇し、層位に頼るのではなく石器を見ればわかるはずだと指摘した。また春成氏の発表に対しては、サビは自然にもできるという菊地強一氏の指摘、層位によるガジリ痕の度合いなどを具体的事例を調べているという小野昭氏の発言、それらを含めきちんとしたデータを出して判断すべきだという岡村氏の指摘があった。
 また河合信和氏はパラダイムシフトは滅多に起こらないものなのだということを自身への反省もをこめて述べられた。
 佐原氏は海外の反響を紹介した後、教科書の記述についても取り上げた。これについては現在のシステムでは全体のチェックが出来ないという指摘がなされた。
 なお最後に、春成氏によって最近話題となっている聖岳の資料について、以前の調査時から出土状況がおかしいという指摘はあるということが述べられた。

 さて、私の感想はというと、まだ具体的な検討が行われていない以上なんとも言えないのだ、という印象をうけた。春成氏の発表は具体的検証でり注目されるが方法はまだ確立しているとはいえないようである。岡村氏にしても直接調査した遺跡以外についてはほとんど述べられなかった。そういう意味では本日のシンポジウムは今後の新たな研究へ出発点でしかないだろう。私としては以前書いたように学術的には今後新たな遺跡をきちんと調査すれば分かって行くだろうと考えているので、検証は必要なのかなど、今後の旧石器研究全体の方向性についてもう少し討論してもらいたかったと思う。だが、全体的にかなり率直に意見が述べられ聞いていて面白いものではあった。
 なお、以上は私のメモをもとにしたもので省略した部分も多いし、誤認の部分があるかもしれない。各氏の経歴その他詳しいことは下記ページ、発表要旨(佐原氏は「発表詳細である」とおっしゃっていたが。)や新聞紙上(ちなみに毎日新聞が後援であった)などで確認されたい。
 日本人および日本文化の起源に関する学際的研究:シンポジウム「前期旧石器問題を考える」
 毎日新聞:藤村氏関与遺跡の再検証 傷、付着物の解明から 旧石器シンポ


1月6日(土) 千葉県某町の埋蔵金発掘
 一昨日の夜、フジテレビ系の「奇跡体験アンビリーバボー」を見た。別にこの番組を普段から見ているわけではないのだが、「戦慄掘ると死ぬ・呪われた埋蔵金・決死の大発掘スペシャル… 伝説の十三塚をついに発見・首なし地蔵と謎の短歌に隠されたメッセージ”掘るのをやめろ…”最新科学で発掘中突然女の霊が…石棺の下に謎の物体ほか」という番組表の文字を見て見ることにした。埋蔵金については昨年『あちゃら』で関連サイトが紹介された際、当サイトの埋蔵文化財法令集も掲載され、「素人の発掘は難しい/出土品は届出が必要」と述べておいた(埋蔵金に興味をもって来てくださった方々へ参照)。だが、テレビなどでどのように取り上げられているかは全然知らなかったので、一応見てみようと思った次第である。
 30分遅れで見たため詳しいことは分からないが(内容については下記番組HP参照)、後継ぎが出来なかった豪族が十三塚に財宝を埋め、そこを掘ると祟りがあるという伝説の場所を探すところからはじまる。そして、千葉県某郡某町でそれらしき場所を発見した。現在は塚はなく畑になっているが、地中レーダーを用いてその場所を探査した結果、人工物と思われる物が埋まっていることが判明した。この付近は古墳が多く、大川清先生も以前付近を調査したという。このため、該地は埋蔵文化財包蔵地に指定されており、発掘には県教委の許可が必要だということがこの時点で知らされる。県教委の示した条件は、「考古学者の指導の下、学術的発掘を行うこと、機械を使わず手作業で行うこと、出土品に関しては手続きをとり、発掘調査書を提出すること(番組HPより)」であった。そして小川和博氏の指導のもと調査が始まった。結果としては古墳の周溝やレーダー探査で反応があったところからは石室が現れたが、遺跡であることが分かったためそれ以上は掘っていない。乱掘を防ぐためであろう、町の名前が伏せられていたのはよいことである。
 ところで、所さんやら関根勤さん、佐藤藍子さんなどは見つかったら土地所有者と発見者とスポンサー(この場合はテレビ局)の山分けだとか、視聴者へプレゼントとか好き勝手なことを言っていたが、これは如何なものだろうか。結局見つからなかったので、なんともいえないが、万一見つかった場合どうなるのか。文化財保護法の規定は、文化財としてきちんと管理出来なければ譲渡されないというものだったような気がするが。発掘許可条件を示した時点で県教委はその辺りも説明していると思うのだが、番組では伏せているのだろう。もっともそんなことよりも見つかるかどうかが先なんだろうが。
 なお、地中レーダー探査の様子は初めて見たが、それが石室発見に有効であることも分かった。
 フジテレビ《奇跡体験アンビリーバーボー》戦慄!掘ると死ぬ!呪われた埋蔵金決死の大発掘スペシャル


1月1日(月) 謹賀新年/縄文学研究室リニューアル
 あけましておめでとうございます。

 昨年は大学という新しい場で、多くのことを学びました。
 このサイトもたくさんの方に見ていただき、私にとっての大きな刺激となっています。
 そして、考古学はいろいろなことを知らなければならないんだと実感した一年でもありました。  本年はより一層勉学に励みたいと思います。皆様よろしくおねがいいたします。

 さて、当サイトは独自ドメインjomongaku.netを取得し、サーバを移転するとともにトップページ以下若干の変更をおこないました。Webサイトガイドやデータ集などもっと充実させなければならないし、他にも、もっと変えようと思っていたのですが、残念ながら21世紀に間に合わせることはできませんでした。今後もこつこつと見直ししていきたいと思います。それに伴い、現在のページ構成が変更する可能性がありますのでご注意ください

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