管理人の日記 〜2001年7月〜先月日記トップ翌月

7月31日(火) 夏休みです
 ようやく前期試験もおわり、夏休みがやってきました。
 下記のように、すでに7月後半からいろいろ見て廻っていますが、なかなかまとめられません。

 8月1日夜からは考古学会の合宿で、出雲へ参ります。今回は初心に返って磐座などの祭祀遺跡を見てこようと思います。ついで、8月18日からは民俗学研究会の合宿で青森県南郷村へ参ります。民俗調査ですが、焼畑やオシラサマのお話などを伺えればと思います。さらに8月26日からは能登半島の真脇遺跡での調査に参加させていただく予定です。遺跡自体への興味とともに、他校の学生と会えるのも楽しみです。合間をぬって地元で報告書作りをお手伝いすることになると思います。

 このような予定ですので、更新が滞ることは目に見えております。また掲示板へのレスもあまりできなくなると思います。毎度見に来ていただいている皆様には申し訳ありませんが、ご了承願います。


7月30日(月) 「岡本太郎と縄文」展 附「京都清水寺展」
 東京日本橋の三越で開催中の「岡本太郎と縄文」展、高島屋で開催中の「京都清水寺展」を見に行った。

 会場には彼の作品−絵画・彫刻あわせて約50点と、縄文土器・土偶−約40点が展示されていた。岡本太郎は縄文の美を発見した人物である。それは知っている。彼の作品がどんなものか、それについても、センター入試後に川崎市立岡本太郎美術館を見たので何となくは知っている。ただ、その時の思いは結局「トピックス」としてまとめられなかった。それは彼の中の縄文が私にとってどんな意味を持つのかを考えようとしたためだろう。それは未だによくわからない。
 会場には赤・黒・白・黄といった原色に近い色を用いた色鮮やかな抽象画が展示されていた。何を表しているのかは分からない。しかし、考古学者だって縄文土器の時期的・地域的特徴や文様の書き方はわかっても何を表しているかは分からない。見て、きれいだと思うだけで十分だろう。特にその鮮やかさと、外に向かっての波状・らせん状の動きは印象的である。彫刻にも同様に外へ伸びてゆく動きがある。これらに比べれば縄文土器の動きは内なるものに見えてしまう。
 会場に展示された縄文の出土品はほとんど火炎様式・勝坂様式・曽利様式の土器と遮光器土偶である。これらの土器を岡本太郎が取り上げたのは頷ける。また目に特徴のある遮光器土偶に注目したのも宇宙との交流の穴という彼の言葉を聞けば納得できよう。無論縄文文化はこれらの単一文化ではない、1万年以上の時間的な幅、北海道から沖縄(今やその枠組すら怪しいものだが)という空間的幅の中で、多様に展開していった。それを跡付けるのが考古学の役割であり、考古学的な縄文観である。だが、彼は考古学者ではないし、美術史家でもなく芸術家である。その縄文観は過去を見るものではなく、現在そして未来を見るものであり、自らの創作の源となったものである。私は彼の縄文土器論をきちんと読んだことはないが、引用される文章からにはエネルギーが満ち溢れている。それは縄文を語るのと同時に彼自身のエネルギーを感じさせる。
 考古学の専門家はこうした芸術的観点からの発言を受け止めてこなかった、と図録の中で小林達雄先生は指摘する。私自身、岡本太郎の縄文論を読んでいないので大したことは言えないが、出土品は決して考古学だけのものではない。これについては三内丸山か妻木晩田について書いた際に述べたと思うが、様々な立場の人がそれぞれに利用すること、それが文化財の活用にとって重要なことであろう。しかし、それはただ各自がバラバラに利用すれば良いというわけではあるまい。我々の考古学も所詮自己表現の1つである。現在でこそ意味を持つものであり、互いに刺激を与えあうことでその価値は何倍にもなろう。
 今回の展示で、前述の絵画と彫刻以外で印象に残ったのは縄文土器・土偶の展示法である。すべて背景が赤で統一されていた。少々眩しくも感じたが、それはより美しさを引き立てる工夫であろう。おそらく祭りの際に火をバックとしない限りそのような光景は縄文時代にはありえなかったはずである。きわめて現在的な展示方法である。

 残念ながら時間の都合であまり余韻を感じることなく、高島屋に向かった。
 昨年の本尊開帳を記念して、清水寺の本堂・奥の院の本尊の御前立やそれを囲む二十八部衆像や絵画・書などが出開帳にきている。清水寺には小5の時に行ったきりで、その時は仏像を拝んだ記憶はない。門や堂や舞台や滝は記憶にあるのだが。会場には供物が供えられ、鉦が置かれた薄暗い部屋は、なかなか雰囲気があってよい。賽銭箱まであるのは本来の姿なのかどうか疑問なところではあるが。定型的でない像もいくつかあって面白かった。仏像好きの友達に解説してもらいつつ、きれいとか、面白いなどと評し合いながら進んだが、詳しく語っても仕方ないので省略する。仏像への興味は既にだいぶ失せたが、やはり気持ちいいものである。来週京都へ寄るのでどこぞのお寺にでも行ってこようと思う。

三越:岡本太郎と縄文展
高島屋:京都清水寺展

7月28日(土) (仮)横浜市歴史博物館特別展「甦る環濠集落」


7月21日(土) (仮)歴博企画展「異界万華鏡」


7月21日(土) 環状盛土遺構・中央窪地型集落 〜三直貝塚・三輪野山貝塚・草刈堀込遺跡・井野長割遺跡〜


7月8日(日) (仮)法政大学でのシンポジウム「前期旧石器問題とその背景を考える」

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