管理人の日記 〜2001年9月〜先月日記トップ翌月

9月10日(月) 真脇遺跡にて
 8月25日夜〜9月9日までの2週間、石川県能都町の真脇遺跡の第6次調査に参加することができた。真脇遺跡は1982〜88年に第1次・第2次の調査が行われ、縄文前期〜晩期にいたる全期間の土器が出土し、編年研究に貢献したほか、晩期の環状木柱列(半分のみ調査)や、前期〜中期の大量のイルカ骨、彫刻柱などが出土し、当時の縄文観を大きく塗り替えた。遺跡は1989年に国史跡、出土品の一部は1991年に国重文に指定されている。能都町ではこの遺跡を中心とした周辺の公園整備を計画し、後述の施設を建設したほか、遺跡の整備のための確認調査を98年より実施し、昨年度は板敷土坑墓や木柱痕などが検出されている。今回の調査範囲は昨年度の東側部分である。

 新宿からムーンライトえちごに乗り、早朝に長岡へ。さらに日本海岸を南下し、金沢の直前で能登半島へ。16時間はかかっただろうか。最後のトンネルを抜けると扇状地のど真ん中に「縄文真脇」駅が。正面に調査区が見え、その右側には円柱状の真脇遺跡縄文館、その奥には縄文真脇温泉、さらに真脇ポーレポーレが見える。縄文館へ向かい、担当者の方にご挨拶。しばし館内を見学した。

 真脇遺跡縄文館の展示室は1室。イルカをはじめとする骨類、縄文前期〜中期中葉の土器、木柱痕・木製品、石器・石製品、彫刻柱、装身具など主にイルカ層出土品を中心に並べてあるようだ。私には何か物足りない気がしたが、おそらく時期的に違うものが同じ空間に並んでいるということと、復原模型・遺構平面図などの遺跡の空間的な利用状態を示す展示がない、言い換えれば個々の遺物は興味深いが、遺跡全体の様子は今ひとつ見えないという点であろう。しかし、遺跡全体の僅かな部分しか調査されておらず、遺構の検出も難しい土層の状況を考えれば仕方のないことであろう。だからこそ、3次以降の調査が行われているわけであり、今後の調査に期待したい。なお、廊下部分には速報展示のコーナーがあり、近年の調査成果について遺物や写真・図などを使って説明されている。なお、入口前に「日本漁業発祥の地」の碑。これはちょっと怪しい。

 前半はピットの発掘や遺構精査。調査の成果については正式発表に譲るが、まず排水用の溝と水を吸い出す2台のポンプに驚いた。しかも穴だらけで、すぐに水が溜まってしまう。毎朝水汲みから始まるが、細長いピットは大変である。掘ってる間中湿って気持ち悪い。地面も弱く、うっかり移動もできない。晴れていれば午後には乾く。後半は図面取りであったが、事情は同じ。泥を掻き出さないと下端が計測できない。このような現場は、是川中居遺跡で見てはいたが、実際に掘ってみるのでは印象が大分違う。掘った最初の土の一部は構成比を出すため篩にかけて水洗いし、残りも水洗いして掘り残した遺物を拾うという。かなり徹底した方法である。
 学生は町の施設に泊めて貰うのだが、朝は7時ごろ起き、8時過ぎに出発、夕方6時ごろに宿舎に帰ってくる。ちなみに朝は自炊。昼と夜はご飯に買ってきたおかず。朝食を作って下さった・指示を出して下さった人に感謝。夜は疲れてすぐ寝てしまう。なんと健康的であろうか。

 たまに縄文真脇温泉へ行くこともあった。露天風呂もあり、遺跡やその先の海が見わたせる。なかなかいい湯だったが、あいにく星空の下での湯は楽しめなかった。隣接して真脇遺跡公園。立柱の並んだ縄文劇場や巨大な土面のモニュメントなど。ライトなども各地の縄文土偶などをあしらっている。さらに隣接して縄文をイメージしたユニークな遊具のあるプレイゾーン「加夢加夢ランド」。ちなみに、能都町の施設などの案内板には縄文文様の施文されている。
 このような遺跡をモチーフにした設備は、私としてはとっても好きだ。お土産にできるグッズなども開発して欲しいとも思う。ただ一般の人の反応はどうなのか、気になるところだ。さらに奥には宿泊施設「真脇ポーレポーレ」。値段は高いが、いつかは泊まってみたいと思う。真脇小学校の下には縄文真脇太陽光発電所があり、その電力は公園のライトアップなどに使っているという。砂浜の再生計画などもあるらしい。
 日曜日には宇出津の入り口にある「世界一の縄文土器」を見に行った。高さ4.5mだという。町おこしに作られたものだが、さすがにデカイ。

 帰りは朝7時に真脇を出て、北陸本線で福井・米原を経て東海道線へ。13時間の旅でした。本も読み終えてしまいかなり暇でした。

 期間中は東洋大・富山大・島根大の学生さんと知り合うことができた。作業員のおじさん・おばさんも楽しい人ばかり。もちろん調査員さんも。皆さん、2週間お世話になりました。

 能都町縄文遺跡情報
 能都町ふるさと創生公社真脇ポーレポーレ・真脇遺跡公園・縄文真脇温泉

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