管理人の日記 〜2002年2月〜先月日記トップ翌月
2月28日(木) 国立能楽堂企画公演「絵解きと能 −立山曼荼羅絵解−」
 中世から近世にかけて、信仰を広めるため寺社の由来や境内などを描いた絵巻物や参詣曼荼羅が盛んに作られた。これらは中世当時の様子を生き生きと描き出している点で歴史学的にも注目されている。最近の歴博の企画展「何がわかるか、社寺境内図」でも立山曼荼羅の諸本が展示とビデオによる解説が行われており関心を持っていたところであった。
 立山曼荼羅は立山の開創縁起、山内の紹介(地名伝説など)、行事(布橋灌頂)の紹介、極楽・地獄の様相などの要素が一枚の絵に盛り込まれており、単なる境内地図ではない。そこには解説が不可欠である。この解説が「絵解き」である。曼荼羅を掲げそこに描かれた事象に関して1つずつストーリーを追いながら説明し、立山への信仰に導くというのが本来の姿である。
 と、頭では分かっていても実際にどのように使われたかについては今ひとつ実感が無かった。国立能楽堂でこの絵解きが行われると知り、これを聞きに行った。
 前半は、立山を開いたと伝えられる佐伯有頼からつづくという魚津市大徳寺の佐伯昭彦住職による絵解きで、上述した開創縁起から立山地獄まで
2月24日(日) 神奈川県考古学会「考古学講座 かながわの中世 〜鎌倉から小田原へ〜」

2月23日(土) 國學院大學学術フロンティア事業「シンポジウム 無形文化の記録保存に関する動画像の過去と未来」

2月17日(日) 伊勢原市第15回考古資料展

2月3日(日) パーソナライズミュージアム 〜東京大学総合研究博物館「デジタルミュージアムIII」〜
 東京大学総合研究博物館で開催中の「デジタルミュージアムIII」を見学してきた。同館では坂村健氏を中心にとしたデジタルミュージアム技術の研究の成果を97年に「デジタルミュージアム 電脳博物館−博物館の未来−」展、2000年に「デジタルミュージアム2000」展として示してきた。後者については「共同実験 縄文の記憶」を含んだもので2000年3月15日に見学したが、今一つまとめられず、見学記は書くことができなかった。
 改めて図録を見直してみると、基本的なコンセプトは一貫している。すなわち、誰でも、何時でも何処からでも、どのようにでも展示が見られるという「3つのオープン」で、「蓄積・利用・ネットワーク」の3つの機能からなる。具体的にはデジタルアーカイヴ・バーチャルミュージアム・パーソナライズミュージアム・分散ミュージアムである。
 デジタルアーカイヴのデータをもとに、バーチャルミュージアム=仮想博物館がコンピュータ上に作られる。MMMUDと呼ばれる、ゲーム技術を応用した三次元のバーチャル空間に資料画像が配され、クリック1つで解説画面が現れる。複数人が同一画面上で資料を見ながら会話することも可能だという。今のところゲームほどのリアリティはないのが残念だ。また、二次元だがデータベースもこの仲間といえよう。なお、ネットワークを使った分散ミュージアムは前回、高速回線を利用し東大に居ながらにして歴博の展示を見るという実験が行われている。
 それでは実物は不要と考えられているのかといえばそうではない。実物の保存という面を除いても、両者は対立するものではなく、相互に補完するものであるという。そして、その橋渡しとなるのがパーソナライズミュージアムの概念である。
 私が、今回最も関心を持ったのがこの技術である。実際にはカードを渡され(今回は図録とセットになっていた)、最初に言語、文字の大小、解説レベルなどをカードに登録する。これを展示室内に設置してある端末に置くと、その人にあった解説が表示されるのである。関心分野を登録しておけば、それにあったコースを選んでくれる。今回は、史料編纂所が作成した人物肖像画の模本のデジタル映像のうち、気に入ったものをカードに登録しておくと、家でその解説と画像が見られるというシステムであった。
 こうした個人にあわせた情報提供が可能になるのはなかなか興味深いところである。坂村氏が指摘するように従来の展示は対象が絞りきれず主題がボケてしまうことがあったが、こうしたシステムによってその心配はなくなるだろう。多少、気になった部分もあったが実際に運用する段階では解決するだろう。

 こうした技術は、既に東博内外の特別展で実際に利用されているという。下で述べた東博の展示では技術そのものの展示という観もあったが、今後、資料に関する情報提供の手段として一般的に利用されていくことを期待したい。


東京大学総合研究博物館
 ・『DIGITAL MUSEUM 電脳博物館−博物館の未来』 1997
 ・デジタルミュージアム2000
 ・坂村健「東京大学デジタルミュージアム」『Ourobros』1-1 1996.9
 ・坂村健「デジタルミュージアム −博物館情報インフラストラクチャの構築−」『Ourobros』1-3 1997.3
 ・坂村健「理想のデジタルミュージアム建築」『Ourobros』2-1 1997.5
 ・坂村健「デジタルミュージアム ―21世紀型分散博物館構想―」『Ourobros』4-3 2000.2
 ・鵜坂智則「マルチメディアMUDシステムによる仮想博物館」『Ourobros』5-1 2000.5
 ・坂村健 「電脳が博物館を変える──デジタルミュージアムIII展に向けて」『Ourobros』6-3 2002.1

国立歴史民俗博物館:デジタルミュージアム共同実験−縄文の記憶−(2000年度)


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