管理人の日記 〜2003年2月〜先月日記トップ翌月
2月18日(火) 美術作品から見る日蓮宗の世界〜東博「大日蓮展」〜
 東京国立博物館で開催中の特別展「大日蓮展」を見てきた。平日午前だというのにかなりの人出であった。こういうテーマなので、お坊さんの姿も多い。
 立教開宗750年を記念した同展には、肖像や「立正安国論」「歓心本尊抄」をはじめとする直筆の文書、「日蓮聖人註画賛」(伝記絵)など日蓮その人の資料はもちろん、釈迦像、曼荼羅本尊、絵曼荼羅、法華経、多宝塔など日蓮宗で信仰の対象として作られた品々、織田信長や加藤清正など日蓮宗を信仰した人物ゆかりの品と彼らから寄進された品、本阿弥光悦や長谷川等伯などの信仰に裏付けられた作品など、160点以上が集められた。多くは絵画・彫刻・工芸などの美術品と呼ばれる資料であり、宗教美術と信仰の展開・受容のあり方が伺えて興味深い。資料に付された解説文も単に美術史的な技巧の話だけでなく、来歴、意味内容、使用方法などについても触れられていた。
 ただし、このように全般的にはなかなか面白のだが、中世宗教界における日蓮宗と他宗との違いがよく分かっていなかったり、光悦や等伯のことを知らなかったりする私にとっては個々の資料の理解は難しかった。
 なお、本展で扱われたのは江戸時代までの資料であった。近代以降を扱うと歴史的・文化的な側面よりも布教的な側面が意味が大きくなるからであろうか。(03.02.18)
 東京国立博物館:「大日蓮展


2月4日(火) 久しぶりにのんびりと 〜「発掘された江戸の墓」「伊東忠太展」〜
 入試期間中で大学に入れないので、今日は昼間でのんびり休み、午後から田町へ出かけ2つの展示を見てきた。

港区立郷土資料館テーマ展「発掘された江戸の墓」
 まず、港区立郷土資料館で開催中のテーマ展「発掘された江戸の墓」。昨年新宿区で同様の展示が開かれたが、港区は新宿区と共に、近世墓地の調査例が多い地域である。
 今回の展示は、常設展の中央部分を使ったわずかなスペースを用いたものであったが、土葬の武家の甕棺、庶民の木棺、子供用の甕棺、武家の骨壷、墓誌(銅版や棺蓋)、副葬品(柄鏡、印籠、漆器椀、喫煙具など)など、地下から見た江戸の墓制がコンパクトに概観できるよう展示されていた。

日本建築学会建築博物館開館記念「伊東忠太展」
 郷土資料館から道を隔ててすぐの建築会館内にあるのが建築博物館である。今回の目的はここで開催されている伊東忠太展である。
 伊東忠太については、日本の建築史を築いた学者であり、築地本願寺や平安神宮を設計した建築家ということ以外はあまり知らない。ただ法隆寺をはじめとする文化財建造物の保護に力を尽くしたということから興味を持って足を運んだのだ。
 伊東家に残されていた個人的な資料が遺族から(社)日本建築学会に寄贈されたことを受け、研究委員会が組織されその成果をもとに本館の開館と本展の開催となったようである。
 主な展示資料は日記やフィールドノートの類であった。これらは冊子という体裁もあって実物はそれほど多くなく、むしろ内容を複写し一覧できる形のパネル展示と、写真や図面をプロジェクターで順次映し出していくという展示、つまりモノそれ自体ではなく内容(情報)を示すタイプの展示であった。
 旅行での見聞や日常の様子を描いた精巧なスケッチは、見ていて楽しいものである。フィールドノートといっても、現場での走り書きメモではなく、彩色が施され、綺麗に清書されたノートである。これらが壁面一杯に並べられており、見やすく、印象深いものになっていた。あいにく解説書は手に入れることが出来なかったのだが、フィールドノート1冊ごとに解題が付されたものであった。彼のノートの内容については神谷武夫のサイトで一部が公開されている。
 私も大学で考古学者や民俗学者の残した資料の整理に携わっているが、本展は、学者のノート類の整理・公開普及の一例として参考になるものである。と、同時にこの建築家の建築にも興味をひかれた。都内にも幾つか残っているようなので見て周りたい。(03.02.04)

 (社)日本建築学会建築博物館
 神谷武夫とインドの建築フィールドノート解題
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