管理人の日記 〜2003年5月〜先月日記トップ翌月
5月25日(日) 日本考古学協会総会

5月24日(土) 東村山ふるさと歴史館 縄文アドベンチャー

5月18日(日) 板橋区郷土資料館・とげぬき地蔵・王子稲荷

5月16日(金) ギャラリー櫟「土門拳旧蔵品展 縄文土器と埴輪を中心として」
 伊佐ホームズ土門拳旧蔵品展

5月11日(日) みんなでつくる展示とイベント 〜東村山市ふるさと歴史館企画展「みんなでつくろう!しもやけべ遺跡公園」〜

 映画『となりのトトロ』の舞台として知られる狭山丘陵・八国山緑地のふもとに位置し、縄文後・晩期の水場やそこで使われた弓、漆製品など豊富な遺物が出土したことで注目された東京都東村山市の下宅部遺跡。縄文人の生活に使われた川の流れはその後も地下水脈として現代まで残っており、有機質の遺構・遺物を今に伝えてきた。この他にも古代の祭祀跡と推定される池状遺構や瓦塔の一部、あるいは中世の板碑なども出土しており周辺の歴史を語る上で欠かせない遺跡となっている。調査自体が都営住宅の建て替えに先立つものとして行われたため、全域を保存することはできなかったが、中心部と目される区域3000平方メートルが本格調査の手も加えられない状態でそのまま保存されることになった。
 この保存区域を活用するため、東村山ふるさと歴史館では一昨年から市民参加のワークショップを毎月開催し、「成長する公園」をコンセプトとした基本構想を作成。昨年度からは「下宅部遺跡公園を育てる会」として具体的な設計やオープン後の運営などについて話し合いを続けている。なお、「公園」の名称が団地付属の都市公園をイメージしがちだということで現在は「(仮称)考古学体験広場下宅部遺跡を育てる会」となっているが、以下の記述では便宜的に「公園」を使う。
 先日基本設計が完了し、いよいよ作りが始まるわけだが、この機に、より多くの人に公園づくりを知ってもらうことを目的に、これまでの取り組みを紹介する企画展が開催されることになった。

 「みんなでつくろう!しもやけべ遺跡公園〜展示もつくちゃおう〜」と題したもので、内容は下宅部遺跡の紹介と全国的な遺跡保存活用のあゆみ。そしてワークショップ・育てる会の取り組みの紹介。ここでは中学生を対象にした取り組みや、トトロのふるさと財団との共催イベントの紹介もしている。最後に、そして公園の名称・マスコットキャラクター・公園でやりたいことの募集、グッズランキングといった参加型のコーナー。書いてもらった意見は壁に貼り付ける。
 この企画展は人材獲得の意味もこめて、同館では初めてボランティアスタッフが募られ、展示作りや展示解説、イベントのスタッフとして活躍している。展示作りといっても、初めてということで企画段階への関与はなく、学芸員の支持のもと展示物の作成や印刷・パネル化等を行うのみだが、イベントなどについては様々な工夫・意見が出てきており今後の展開が期待される。
 本企画では、展示だけでなく各種のイベントも行っている。これまでに、イノシシのペーパークラフト作り(5/3)、縄文服デザイン(5/4)、遺跡公園見学(5/10)、マスコットキャラクターデザイン・土鈴デザイン(5/11)が行われているほか、今後、縄文アドベンチャー:編布作り/石器づくり・縄文食体験(5/24)、勅使河原彰氏の講演会「トトロの森の遺跡の保存」(6/1)、東村山市北西部史跡めぐり(6/15)が行われる。これらは遺跡公園での各種イベント運営の予行も兼ねている。また、ここで出来上がった作品は展示の一部として組み込まれる。
 遺跡公園のコンセプトと同様「成長する展示」を標榜する本展なので、ワークショップの作品だけでなく、パネルや解説シートの追加・変更もある。また、図録は作成せずワークショップのニュースや解説シートを自分でファイリングしていく方法をとっている。「成長する図録」である。
 このほか、市内外の小中高生にポスターの原画を描いてもらう試みも行った。70枚以上の応募があり、全てポスター・チラシに活用されている。また、原画は3回にわけて展示室前に並べられている。このポスター展示はかなり面白い。お気に入りの作品も数点ある。また、公園の名称募集等は市内各地の公民館・図書館でも行っている。実際におかれている様子はまだ確認していないのだが、どのような成果が上がるか興味深い。

 これまで何度か日記で紹介してきたように、私は昨年度から「育てる会」に参加し、この展示のボランティアスタッフにもなっている。学校の合間なので土日以外はなかなか参加できないのだが、毎回楽しく学ばせてもらっている。準備には4回ほど参加し、パネル作りやポスター原画の展示、パネル等の貼り付けに参加。イベントでは、ペーパークラフト、縄文服、マスコット・土鈴の3回のお手伝いできた。
 展示自体は、そのテーマの特性上、「モノ」資料はほとんどなく文字や写真ばかり。文字を全て読んでくれる人を除けば、ただ見るだけでは面白い展示ではない。従ってスタッフの解説が鍵になる。
 この歴史館は団地の一角にあり、入館料は無料である。また、近くに八国山緑地や北山公園という家族連れやハイキング客が多いスポットがある。こうした理由から客の入りはぼちぼちである。子どもはお絵かきは大好きなので、ワークショップには熱心であり、ユニークな作品を作り出していた。では、これらのイベントと「下宅部」「縄文」「遺跡」がどのように結びつくのか、あるいは結びつく必要がどこまであるのか、という点を考えると難しい。博物館は遊び場ではないという考えもあるだろう。一方で、例えば下宅部のものを写して意味があるのかという気もする。とはいえ、思い思いの絵を描いて「また来るね」と言ってくれた子は多い。まずは《博物館に来てもらうこと》《博物館で楽しんでもらうこと》が第一かもしれない。

 展示準備から既にだいぶ日数が経ち、展示も折り返しの時期になってしまったが、なかなか日記で取り上げられなかった。準備や展示解説、イベントなどで得た様々な知見の整理がつかなかたためであるが、それらは別の機会に譲るとしてとりあえず、紹介文のみ書き記すことにした。
 展示は6月22日まで。5/24・6/1のイベントは要申し込み。(03/5/11)

 東村山ふるさと歴史館企画展「みんなでつくろう!しもやけべ遺跡公園〜展示もつくっちゃおう〜」


5月7日(水) 古代の文字世界 〜横浜市歴史博物館特別展「古代日本 文字のある風景」〜
 たまプラーザの授業後、横浜市歴史博物館へで開催中の特別展「古代日本 文字のある風景−金印から正倉院文書まで−」を見に行った。1・2年で取り残した(落としたわけではない)授業のため、週2回たまプラに通っている割にはなかなか行く機会が無かったのだがようやく行くことができた。もともと、創立20周年記念として国立歴史民俗博物館で去年の3月に始まった特別展であり、歴博の後4箇所を巡回し、最後が横浜である。

 おそらく歴博での展示資料数と比べかなり縮小していると思われるが、私としては横浜の企画展示室は狭すぎず広すぎず、特別展・企画展には丁度いい大きさだと思っているのでその点は気にしない。副題にあるようにまずは「第一部 文字のはじめりとひろがり」として、金印からはじまり、弥生土器に書かれた「文字」、次いで古墳時代の鉄剣や鏡の銘、さらに木簡や貨幣、文字瓦など出土品で示される。この辺りは考古学でもお馴染みの資料であるので特に感想はない。ただ、則天文字が書かれた墨書土器は呪術的な意味から興味を引いた。単なる文字ではなくマジカルな記号として受容されたのか。
 「第二部 役所と村の中の文字」は木簡、漆紙文書、墨書土器、碑、印章などから律令期の文字の使われ方が示される。戸籍や通行証、郡符木簡といった文書行政に関わる資料のほか、九九や手習いなどその前提となる技能に関する資料もある。墓誌、絵馬、呪符木簡、人形、人面墨書土器などの呪術に関わる資料も今更ながら面白い。
 最後の「第三部 正倉院文書の世界」は御野国(美農国)半布里という1里全ての戸籍の復元、写経所に関連する資料を基にした写経所の生活の復元などとして提示されている。1里分の戸籍は展示室の一つの面全面に展開する。その下と上の壁面で写経所の資料とそこから復元される写経所の生活が展示されていた。写経所の資料とは備品の支給台帳、作業報告書、給料請求、休暇届などであり面白い。なお写経所の記録は国で不要になった紙の裏面に記されたものであるが、もともとの表面には戸籍をはじめとする行政文書が書かれており貴重な資料となっており、よく示されるのは後者である。私は、展示されている資料の来歴も気になるのだが今回の展示は正倉院文書の両面の内容・意義が示されていてよかった。
 また、普段体験学習室として使われている一室は加賀郡ボウ示札が、その情景の復元とともに展示されている。ここでは触れを読み聞かせている様子が音声と共に復元されている。博物館での音声展示はその資料を理解するうえでは効果があるものの、他の展示資料を見ている時には邪魔なものである。今回は別室だったのでその点は問題なかったが、他館ではどうだったのだろうか。

 今回の展示は、文献史学的な側面が強いものだが、書かれた素材は様々であること、近世文書と違い読みやすい字体であること、文字数が比較的少ないものが多いことなどの点で私にもとっつきやすい展示だった。また出土品が多いということから古代史と考古学との関係が深いことを改めて感じた次第である。横浜では本展に引き続き5月24日から本展のローカル版といえるであろう「古代を考えるIII 文字との出会い−南武蔵・相模の地域社会と文字−」が行われる。(03/5/10)

 横浜市歴史博物館特別展古代日本文字のある風景−金印から正倉院文書まで −


5月2日(金) 推理する展示 〜パルテノン多摩「謎の古墳探偵団」〜
 パルテノン多摩歴史ミュージアムで開催中のミニ企画展「謎の古墳探偵団−稲荷塚古墳ヲ調査セヨ−」を見てきた。時間の関係でじっくり観ることができなかったため、後日改めて見学したいと考えているが、なかなか面白いものだったので簡単に紹介しておきたい。
 現在はニュータウンの一角に埋もれつつある多摩市の稲荷塚古墳を取り上げたものだが、観覧者が「考古学者」となって古墳の性格を考察するという過程を追体験する構成となっている。
 まず、入口で「探偵手帖」を受け取る。これは考察のポイントをクイズ形式で提示したもので所謂ワークシートである。 展示は、古墳の位置、墳形、各地の八角形墳、石室内の赤色顔料、出土品、被葬者という構成で、各テーマの中で、例えば、各種の証言から多摩ニュータウン開発の前後の模型の中から稲荷塚古墳の位置を探したり、水銀種やベンガラなどの赤色顔料のサンプルの中から稲荷塚古墳で使われたものを探したりする問いが設定されてる。そして、最後に稲荷塚古墳の性格を推理して用紙に記入するのである。
 各種の仕掛けが取り入れられたものであり、単なる古墳の紹介を超えた楽しめる展示となっている。当初は5月19日までの予定だったが、好評のため9月8日(月)まで延長されるという。(03/5/5)
 パルテノン多摩歴史ミュージアム

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