管理人の日記 〜2005年1月〜先月日記トップ翌月
1月23日(日) 「祈りの道」展
 世田谷美術館で開催中の「祈りの道〜吉野・熊野・高野の名宝〜」展を最終日になってようやく見てきた。世界遺産指定記念で三山およびその道中の寺社への信仰に関わる資料が多数出展されていた。中世の信仰資料のユーモラスな表現が好きで、これまでに1999年の東武美術館「役行者と修験道の世界」、2003年の和歌山市博物館「参詣曼荼羅と寺社縁起」、2004年の東京国立博物館「空海と高野山」など関連する展覧会を見てきたが、今回もまた興味深い資料に出会うことができた。
 今回の特別展は、吉野・天川弁才天・熊野などの本地あるいは垂迹曼荼羅、那智・吉野・高野などの参詣曼荼羅、峯中秘図などの絵画資料が充実していた。古神宝中の化粧道具セットや鏡像・懸仏・経塚遺物など山頂からの出土品なども数多い。さらに、大阪・名古屋・東京の3会場での長期間の展示ということで展示替用という意味もあるのだろうが、図録には同種の資料が多数収録されており、見比べる楽しさがある。
 一口に紀伊山地の霊場といっても、三山はそれぞれ異なった性格を有している。その三山はさらに個別の寺社群によって構成されている。今回の展示は隣接する大きな宗教勢力とはいえ、そうした三山の多様な姿を一同に会したものである。登場人物や資料の中には有名なものも多いが、各資料は比較的独立した趣をみせているように見受けられた。多少なりとも知識があって、しかも見て楽しめればよいと考えている私には見応え十分で面白いものであった。ただ、資料解説は個々の資料の説明に特化しており、相互の関連性は弱い。従って、基礎的知識が無いと展示の「理解」はなかなか難しい。
 毎日新聞社:特別展 祈りの道

1月10日(月) 翡翠展/国立科学博物館
 科博の特別展「翡翠展」と、リニューアルなった常設展を見てきた。上野に行くのも、この「日記」を更新するのも11月以来である。科博は2001年の「日本人はるかな旅」展以来、常設展は小学校低学年の頃恐竜を見に行って以来である。
 翡翠展は世界各地の原石・鉱物で構成された「翡翠の科学」、日本列島の縄文時代〜飛鳥時代および朝鮮半島の古墳からの出土品を集めた「翡翠の文化史」、一級文物を含む故宮博物院所蔵品による「清の翡翠玉器」、現代の宝飾品による「翡翠の魅力」の4部構成で、展示品は400点余りだという。これだけの量の翡翠製品は圧巻である。
 縄文時代の大珠は有名なものもいくつか出展されていたが、きれいな緑色をしたものは実物を見ても少ないという印象を受けた。これは縄文人が色でなく「翡翠」であることにこだわっていたという説を裏付けるものであろう。古墳時代の1cm程度の小さな勾玉にも興味を持った。清代や現代の工芸品は混じり気のない透き通った緑色の翡翠が用いられていることが多いが、工芸品の中にも白みがかったきれいな石を使ったものもありその美しさに魅せられた。

 さて、今回は科博の常設展も見てきた。なお、本館は改修のため休館中であった。昨年11月2日にオープンした新館は地上3階・地下3階で、ジオラマ・模型、映像、照明を駆使したものであった。「地球生命史と人類―自然との共存をめざして−」をテーマとし、地下3階の宇宙・物質・法則から始まり地下2階・地下1階の古生物・人類、地上1階の原生生物、地上2階の技術史と続き、最後の地上3階に哺乳類・鳥類の剥製による「大地を駆ける生命」、雑木林が再現された「たいけん広場」が置かれている。飛行機など資料が大きい科学技術系のコーナーは別として、それ以外のコーナーでは資料自体が小さく、それが数多く展示されている。順路の制約も少ないオープンな展示構成であることや祝日ならではの人出の多さも加わってごみごみとした印象を受けてしまった。技術史の分野などは初期のテレビや計算機が展示されていた。現在のものよりは単純な仕組みだと思うが、展示解説を見ただけでは分からない。どうせなら歴史的意義のみならず簡単な仕組みを理解できるように解説してくれれば良いのではなかろうか、エスカレーターの横側をガラス張りにする配慮があるのだし。なお、この情報パネルと同様の展示解説がネット上で公開されているが、これはICカードでピピッとやると、その場所が記録され、帰宅後見た部分をおさらいできるという機能も持っている。しかし、スタンプラリーの感覚で、会場で展示を見ずただピピッというのを集めている子供が多かった。とはいえ、翡翠展を含めて4時間居たのだから見所は多い。子ども連れのみならず、若いカップルが何組も居たことも考えると美術館・博物館よりは魅力的なのであろう。
 国立科学博物館特別展「翡翠展−東洋の至宝−」

1月1日(土) 本年もどうぞよろしくお願いいたします

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