管理人の日記 〜1999年2月〜先月日記トップ翌月
2月24日(水) 妻木晩田遺跡保存運動の情勢

《22〜23日の妻木晩田の情勢をめぐる当サイトの対応について》
 私自身には、きちんとした確認方法がないため、混乱してしまった面がある。念のため経緯を記す。
 下記のように考古学のおやつを見ていて、全面保存へという情報を知り、私の感想と今後のことについての私見(23日付けトピックス)を書き、23日朝にアップした。この際、あるいは誤報かもと一応注意書きを添えた。
 しかし、他のサイトや新聞では一切触れられていなかったため、白井さんに問い合わせてみた結果(おもいつきBBS)、下の情報は、読売夕刊によるものとわかり、同時に日本海新聞のサイトを紹介していただいた。この記事によると京阪側が共存は無理と判断したという程度で全面保存とは書かれていな。最終的な県の決断を待つようだ。
 そこで、これをトピックスに追加しておいた(23日13:14)。
 その後、図書館で22日の読売新聞夕刊を確認したところ、確かに「妻木晩田遺跡全面保存へ 京阪電鉄ゴルフ場開発断念」という見出しで、甘粕氏のコメントもあり、この記事による限り全面保存と考えてしまう内容であった。

 23日夜、混乱を整理するため、この文を書く。その際、23日付けトピックについては、一部を除き手を加えていない。仮に全面保存がきまれば、ということで考えていただきたい。


2月23日(火) 京阪英断全面保存へ 活用はぜひ市民の手で(24日の欄参照)

考古学のおやつ「きまぐれNEWSLINK」によると“京阪電鉄がゴルフ場開発諦め、文化庁の全面保存案受け入れへ。鳥取県の「共存案」ではゴルフ場のグレード維持不可能と判断。県に買い戻し求める予定”だそうです!(2/22 15:58)
 表紙で速報したように、京阪電鉄がゴルフ場の建設を断念し、県に土地の買い戻しを求めるという。これで妻木晩田遺跡群をめぐる状況は大きく動いたはずである。これは昨日16時頃、何気なく、「考古学のおやつ」を見にいって知ったもので、まだ他のページには載っていないようだったし、夕方・夜のニュースでも取り上げていなかった。白井さんがどのような経路で情報を得たかは知らないが、その動向を気にする私のような一般市民としては、インターネットの速報性が十分に発揮された意義のある出来事であると思う。

 この決定が京阪側からのものであることについてだが、昨日アップした妻木晩田についての文章で「県を待つより京阪が自主的に取り下げるべきだ」ということを書いていたこともあって、やっぱりなという印象である。それにしても、県による民有地内の大遺跡の保存という前例を作れなかったことは残念である。

 ところで、今後の遺跡の活用については、誰が行うことになるのだろうか。ここまで事態を長引かせた県に任せるのだろうか。といっても、地元の2町が担うのも財政的に無理なのはこれまでの議論で明らかである。やはり国に金を出してもらうことになるのだろうが、国に全て任せ、地元は知らないということになるのは、地域の資源としての遺跡の価値が大きく損なわれてしまう。

 一方、この遺跡には先日旗揚げしたばかりの「むきばんだ応援団」をはじめ多くの学者・市民組織がついている。保存という1つの目標がほぼ達成されたので、今後の活動は「普及・活用」ということになるだろう。遺跡の整備・活用計画には積極的にこれらの団体が参加していくことが重要になってくる。いっそのこと運営はこれらの団体に委託して行ってはどうだろうか。

 妻木晩田において、遺跡の保存活用の新しい方法が積極的に実践されていくことが期待される。(ここまで22日夜)


2月21日(日) 開発に“伴う”調査
…近年、出土品は、開発事業等に伴う発掘調査事業量の増大に比例して増加し続けており…(「出土品の取扱いについて(通知)」より)
…「大山スイス村」ゴルフ場建設にともなう発掘調査で、2000年ほど前の大規模なムラと墓地がみつかり…(みんなで考古学「注目を!妻木晩田遺跡群」より)
…同遺跡は史跡七戸城跡北館の対岸部にあたり、遺跡を横切る町道新設と生涯学習施設建設計画に伴い、平成7年度から10年度まで緊急発掘調査を実施してきた…(青森遺跡探訪「案内人日記」より)
 遺跡の紹介をする場合の1つのスタイルとして、「〈調査原因〉に伴い、〈調査年〉年に〈調査者〉によって調査された」というものがある。今まで私も遺跡紹介文の冒頭では専らこれでを使ってきた。しかし、最近、この「伴い」という表現が妙に気になってきたのである。
 これでは調査が開発事業の1過程として行われたことになるではないか。多くの場合においてはこの表現は実態を示しているのだが、やむを得ない開発事業の場合にのみ記録を残すため事前に調査を行うというのが現在の文化財行政の本来の姿であろう。

 さて、これが気になったのは妻木晩田遺跡群の保存問題についての文を書いている時である。この遺跡でも調査は開発事業の1過程として行われたわけだが、遺跡の重要性が明らかになり、開発を中止して全域を保存する運動が全国的に展開されている。従って、保存を訴える際、開発の1過程を意味する「伴う」という表現を用いるのは矛盾することにならないだろうか。
 もちろん、調査時点では「伴う」と表現しても構わないという解釈も成り立つかもしれないけれど。

 とはいうものの、適当な表現は思い付かないので、「ゴルフ場建設の事前調査として」と書いたわけだが、少なくとも「伴う」よりはいいのではないかと思う。また、既に開発が行われた遺跡に関しては「先立ち」とする方法もある。
 きっとどこかで議論されている事だと思うので、どなたか教えてください。


2月21日(日) 第11回考古資料展 咳止橋遺跡と田中地区の遺跡
 毎年、2月の公民館まつりで、伊勢原市教育委員会は考古資料展を開催している。公民館の会議室を借りてやる小規模なものだが、毎回テーマを定めて行い、またその年度の速報展にもなっている。ここ数年見学し、昨年は縄文部分の展示の手伝いもした。
 今回は咳止橋遺跡や聖原遺跡など伊勢原市田中地区にある遺跡の出土遺物が展示されるというが、詳しいことは聞いていない。いずれ詳しくお伝えするつもりである。

 「第11回 考古資料展 咳止橋遺跡と田中地区の遺跡」
  2月26日(金)〜28日(日) 午前9時から午後5時まで 伊勢原市中央公民館3階会議室B・1階ロビー
  問合せ先 伊勢原市教育委員会社会教育課文化財保護係(0463-94-4711 内線5216)


2月20日(土) Yahoo Japan!に登録
 今月上旬に、Yahoo Japan!への登録を申し込んでいたところ、昨日メールが届いた。今日、検索してみるとちゃんと登録されていた。ある程度審査があるようなので、内心心配だったが、ともかく万歳!
 精一杯がんばりますので、今後ともよろしくお願いします。


2月6日(土) 赤ちゃん土偶について2
Yahoo!Japanの考古学トピックスに2/4の時事通信と2/5の河北新報の記事があった。これによれば土器捨て場から出土したもので、厚さは1.5pで土版に近いらしく、同時代の動物形土製品も出土しているらしい。わざわざ人間と考えなくてもいいかも。 再生を願ったという葛西励青森短大助教授のコメントや配石-名久井岳-太陽運行に関する指摘もあり興味深い。


2月6日(土) 目を覆うバーミヤンの大仏の傷痕
 2月5日の朝日新聞朝刊一面には「悠久の大仏砲撃無情」という見出しとともに、頭のない大仏の写真が掲載された。戦車砲によって吹き飛ばされたという。アフガニスタンのバーミヤンの仏教遺跡で、以前からイスラム原理主義タリバーンの攻撃による破壊が心配されていた所である。先日届いた『考古学研究』の展望で、後藤健さんがタリバーン幹部の文化財保護の方針が紹介されていたのを思い出すと驚く。おそらく後藤さんが心配されたように末端に徹底していなかったためだろう。
 もちろんこの件に関してはほとんど予備知識が無いので何とも言えないのだが、写真を見て大きなショックを受けた。以前、大仏下半身の砲痕でショックを受けたのだが、今回の写真ではそれどころではない。新聞では指摘されていなかったが、腹部の大きな穴、胸から肩にかけての無数の砲痕は目を覆いたくなる惨状である。壁画などに比べ一番目立つ部分であり、以前は顔の一部はなくても偉大な大仏だったが、現在では体中に砲火を浴びて今にも倒壊するのではという印象を受ける。世界的な遺産をこのような無残な姿にするとは信じられないが、戦火による文化財の破壊はこれが始めてではない。現地ではこれ以上破壊されないようにタリバーン兵士がガードしているというが、これを信じて事態の収束を願うほかないのだろうか。


2月5日(金) 赤ちゃん土偶出土
 2月4日の朝日新聞夕刊に「おくるみ姿赤ちゃん土偶 全国初、青森で出土」の記事。三戸郡沖中遺跡(晩期)から7cm×4cmのおくるみから顔だけ出しているような姿の土偶が出土したという。慶大江坂名誉教授の「安産もしくは懐妊を願ったもの」とするコメントが出ていた。
 写真を見た限りでは、厚さが分らないので晩期の顔の表現のある土版(『東北地方の土偶』p30)との関わりを考えたがそれらに特徴的な模様が無いし、土偶と考えてもこれまで知られていない形で、今後の類例発見が待たれる。


2月2日(火) 「萬維網考古夜話」でネタになってしまいました
 昨日から正式公開をはじめました。
 さて、考古学のおやつにリンクのメールを出したところ、なんと名物コラム「萬維網考古夜話」で、紹介されてしまいました。きっと最初にリンクを張っていただいたサイトだと思います。いい宣伝になりました。
ただ、少し気になる言葉がありました。
 >将来ある青少年が、こんなコラムを面白がって見てていいのでしょうか。
 ですって。コラムの内容についておっしゃっているのか、それとも考古学自体についてなのかわかりませんが、後者ならばもう聞き飽きた言葉です。私は月何度か市教委の事務所におじゃましていますが、そこでも最初はそういうことを言われました。でももう諦めたみたいです。
 前者なら問題ありません。私以外でも多くの人が面白がっているのですから。希望どおり考古学の道に進めたら、少しでも内情を知っていた方がいいでしょうし。
 いずれにしろ、この発言は私に言っているのではなく、このコラムを見た他の人たちに意見発表を勧めるためのものなんだと勝手に解釈しました。

付記:白井さんによると前者だということですが、後者についてのコメントもいただきました。コラムのネタにされるかもしれないそうですのでここでは省略します。(2/5)
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