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【1919年】
【『文化財保護の歩み』より】

  史蹟名勝天然紀念物保存法

[大正8年4月10日 法律第44号]

第一條 本法ヲ適用スヘキ史蹟名勝天然紀念物ハ内務大臣之ヲ指定ス
 前項ノ指定以前ニ於テ必要アルトキハ地方長官ハ假ニ之ヲ指定スルコトヲ得

第二條 史蹟名勝天然紀念物ノ調査ニ關シ必要アルトキハ指定ノ前後ヲ問ハス當該吏員ハ其ノ土地又ハ隣接地ニ立入リ土地ノ發掘障碍物ノ撤去其ノ他調査ニ必要ナル行爲ヲ爲スコトヲ得

第三條 史蹟名勝天然紀念物ニ關シ其現状ヲ變更シ又ハ其ノ保存ニ影響ヲ及ホスヘキ行爲ヲ爲サムトスルトキハ地方長官ノ許可ヲ受クヘシ

第四條 内務大臣ハ史蹟名勝天念紀念物ノ保存ニ關シ地域ヲ定メテ一定ノ行爲ヲ禁止若ハ制限シ又ハ必要ナル施設ヲ命スルコトヲ得
 前項ノ命令若ハ處分又ハ第二條ノ規定ニ依ル行爲ノ爲損害ヲ被リタル私人二対シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府之ヲ補償ス

第五條 内務大臣ハ地方公共團體ヲ指定シテ史蹟名勝天然紀念物ノ管理ヲ爲サシムルコトヲ得
 前項ノ管理ニ要スル費用ハ當該公共團體ノ負擔トス
 国庫ハ前項ノ費用ニ対シ其ノ一部ヲ補助スルコトヲ得

第六條 第三條ノ規定ニ違反シ又ハ第四條第一項ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ六月以下ノ禁錮若ハ拘留又ハ百圓以下ノ罰金若ハ科料二處ス

 附 則
本法施行ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ期日ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
古社寺保存法第十九條ハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ廃止ス

(備考ノ一) 本法ハ大正八年勅令第二百六十一號ヲ以テ同年六月一日ヨリ施行
(備考ノ二) 本法中内務大臣トアルノハ史蹟名勝天然紀念物保存ニ関スル事務ノ移管ニ因リ昭和三年十二月一日以降ニ於テハ文部大臣之ガ主管大臣トナル



 

  史蹟名勝天然紀念物保存法施行令

[大正8年12月29日 勅令第499号]
[改正 大正13年第285号 昭3年第269号 昭和6年第240号]

第一條 當該吏員史蹟名勝天然紀念物保存法第二條ノ規定ニ依ル行爲ヲ爲サムトスルトキハ少クトモ三日前ニ関係土地物件ノ所有者及占有者ニ其ノ旨ヲ通知スヘシ
 史蹟名勝天然紀念物保存法第二條ノ規定ニ依ル行爲ヲ爲ス當該吏員ハ其ノ證票ヲ携帯シ関係者ノ請求アリタルトハ之ヲ示スヘシ
 日出前又ハ日没後ニ於テハ占有者ノ承諾アルニ非サレハ史蹟名勝天然紀念物保護法第二條ノ規定ニ依リ部内二立入ルコトヲ得ス

第二條 行政廳史蹟名勝天然紀念物保存法第三條ニ規定スル行爲ヲ爲サムトスルトキハ地方長官ノ承認ヲ受クヘシ

第三條 史蹟名勝天然紀念物保存法第二條ノ規定ニ依リ古墳ヲ發掘スル場合ニ於テハ當該吏員ハ地方長官ヲ経由シ文部大臣ノ認可ヲ受クヘシ
 史蹟名勝天然紀念物保存法第三條又ハ前條ノ規定ニ依リ古墳ヲ發掘セムスル場合ニ於テ地方長官許可又ハ承認ヲ與フルトキハ文部大臣ノ認可ヲ受クヘシ
 前二項ノ規定ニ依リ文部大臣認可ヲ爲ス場合ニ於テハ豫メ宮内大臣ニ協議スヘシ

第四條 史蹟名勝天然紀念物保存法第四條第二項ノ規定ニ依ル補償ハ通常生スヘキ損害ニ限リ之ヲ爲ス
 前項ノ補償ノ額ハ地方長官ト損害ヲ被リタル私人トノ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハサルトキハ文部大臣鑑定人ノ意見ヲ徴シ之ヲ決定スヘシ
 前項ノ規定ニ依ル決定ニ不服アル者ハ文部大臣ニ訴願スルコトヲ得

第五條 史蹟名勝天然紀念物ニシテ國有地ニ属スルモノハ文部大臣之ヲ管理ス但シ官用地又ハ國有林ニ屬スルモノニ付テハ主管ノ大臣ト文部大臣ト協議シテ其ノ管理大臣ヲ定ム

第六條 文部大臣ハ史蹟名勝天然紀念物ニシテ國有ニ屬スルモノヨリ生スル収益ヲ管理ノ費用ヲ負擔スル地方公共團體ノ所得ト爲スコトヲ得

第七條 史蹟名勝天然紀念物ノ管理ノ費用ヲ負擔スル地方公共團體ハ其ノ管理スル史蹟名勝天然紀念物ニ付觀覽料ヲ徴収スルコトヲ得

 附 則
本令ハ大正九年一月一日ヨリ之ヲ施行ス



  史蹟名勝天然紀念物保存法施行規則

[大正8年12月29日 内務省令第27号]
[改正 昭和3年文部省令第17号]

第一條 文部大臣史蹟名勝天然紀念物ノ指定ヲ爲シ又ハ其ノ指定ヲ解除シタルトキハ官報ヲ以テ之ヲ告示ス地方長官假指定ヲ爲シ又ハ其ノ假指定ヲ解除シタルトキ亦同シ但シ指定セラレタル物ノ保存上必要卜認メタルトキハ告示セサルコトヲ得

第二條 史蹟名勝天然紀念物保存法第四條第一項ノ禁止若ハ制限ヲ爲シタルトキハ官報ヲ以テ之ヲ告示ス但シ指定セラレタル物ノ保存上必要ト認メタルトキハ告示セサルコトヲ得

第三條 史蹟名勝天然紀念物ノ所有者、管理者又ハ占有者ニ變更アりタルトキハ十日以内二新ナル所有者、管理者又ハ占有者ヨリ地方長官ニ申告スヘシ
 史蹟名勝天然紀念物ノ所有者、管理者又ハ占有者其ノ住所氏名ヲ變更シタルトキハ十日以内二地方長官ニ申告スヘシ

第四條 土地ノ所有者、管理者又ハ占有者古墳又ハ舊蹟ト認ムヘキモノヲ發見シタルトキハ其ノ現状ヲ變更スルコトナク發見ノ日ヨリ十日以内二左ノ事項ヲ具シテ地方長官ニ申告スヘシ
 一 發見ノ年月日
 二 所在地
 三 現 状

第五條 文部省ニ史蹟名勝天然紀念物ノ臺帳ヲ備フ

第六條 第三條及第四條ノ規定ニ違反シタル者ハ二十圓以下ノ科料ニ處ス

 附 則
本則ハ大正九年一月一日ヨリ之ヲ施行ス



  史蹟名勝天然紀念物保存要目[抄]

[大正9(1920)年1月28日]

史 蹟
一 都城跡、宮跡、行宮跡其の他皇室に関係深き史跡
二、社寺の跡及祭祀信仰に関する史跡にして重要なるもの
三、古墳及著名なる人物の墓並碑
四、古城跡、城砦、防塁、古戦場、国郡庁跡其の他政治軍事に関係深き史跡
五、聖廟、郷学、藩学、文庫又は是等の跡其の他教育学芸に関係深き史跡
六、薬園跡、悲田院跡其の他社会事業に関係ある史跡
七、古関跡、一里塚、窯跡、市場跡其の他産業交通土木等に関する重要な史跡
八、由緒ある旧宅、苑池、井泉、樹石の類
九、貝塚、遣物包含地、神籠石其の他人類学及考古学上重要なる遺跡
十、外国及外国人に関係ある重要なる史跡
十一、重要なる伝説地

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