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【1985年】
公共事業と埋蔵文化財より】
庁保記第102号  
昭和60年12月20日

各都道府県教育委員会教育長 殿
文化庁次長

埋蔵文化財の保護と発掘調査の円滑化について(通知)


 標記のことについては、昭和56年7月24日付け庁保記第17号で貴職あて通知したところであり、貴教育委員会その他の関係機関の御努力により逐次必要な措置が講じられているところでありますが、なお開発事業との調整、発掘調査その他の措置について一層の改善を図る必要があると考えられます。
 ついては、更に上記の通知の趣旨の徹底に努めるとともに、特に下記の各事項について適切な措置を講ずるようお願いします。
 おつて、貴管下各市町村教育委員会に対し、この趣旨の徹底を図るとともに、適切な指導をお願いします。



1.基本的事項

(1)埋蔵文化財の保護については、重要な遺跡の保存、行政の体制整備、調査方法の改善等必要な施策の積極的推進に努めること。
(2)開発事業の事業者その他の関係者に対しては、埋蔵文化財の保護の趣旨を十分説明し、その理解と協力を基本として開発事業との調整、発掘調査その他の措置を講ずること。
(3)埋蔵文化財の保護の施策については、広く国民の理解を求め、その協力によつて進めることが肝要であることにかんがみ、広報活動等につき適切に措置すること。

2.埋蔵文化財包蔵地の所在状況の把握とその周知

(1)埋蔵文化財包蔵地については、原則として市町村教育委員会において、その範囲、性格等を試掘調査・科学的探査方法等を活用して的確に把握し、遺跡地図及び遺跡台帳に明示するよう努めること。
(2)埋蔵文化財包蔵地の所在状況に関する資料は、事業者等の求めに応じて埋蔵文化財包蔵地の範囲、性格等を提示できるよう、常時、都道府県及び市町村の教育委員会に公的資料として備え付け、また、必要に応じて関係資料の配布、地方公共団体の広報誌への登載等の措置を講ずること。

3.開発事業との調整

(1)開発事業計画の早期把撞のため、教育委員会以外の関係部局等との連携を密にし、相互連絡の体制を整備する等の措置を講ずること。
(2)開発事業計画が把握された場合、速やかに事業者と具体的な調整を開始すること。
(3)事業者との調整は、当該事業に関する他の行政上の指導や手続きと並行して迅速に行い、適宜、必要な事項を明確に事業者に説明し、その十分な理解を得ること。
(4)事業者との調整に当たつて、埋蔵文化財包蔵地の範囲、性格等の把握が十分でない場合は、速やかに詳細な試掘調査等を実施し、調整終了後に調整内容の変更の事態が生じないよう努めること。
(5)事業者との調整の経過については逐次記録し、調査の結果は協定書等にまとめること。
(6)文化財保護法又は文化財保護に関する条例による史跡指定等が必要と考えられる遺跡については、速やかに文化庁又は関係の教育委員会と協議すること。

4.発掘調査の実施
(1)開発事業に伴い埋蔵文化財の発掘調査が必要とされるのは、原則として次のいずれかに該当する場合であるので、具体的な各事例に別して適切に措直すること。
 1 工事による掘削が埋蔵文化財に及ぶ場合
 2 恒久的な建築物、道路その他の工作物を設置する場合
 3 その他盛土、一時的な工作物の設置等で、それが埋蔵文化財に影響を及ぼす慮れのある場合
(2)開発事業に伴う埋蔵文化財の発掘調査については、次の事項に十分配慮して実施すること。
 1 効率的に調査を行うため、試掘調査等を積極的に活用し、調査区の設定等を工夫すること。
 2 調査の迅速化のため、作業の各段階において最新の土木機械、測量機器等を積極的に導入すること。
 3 調査区の規模、遺跡の性格等に応じて最も効率的な調査体制を編成すること。
 4 調査の行程、進行については、事業者との連絡を密にし、調査に支障のない限り工事が並行して実施できるよう工夫すること。
 5 特別の事情によつて、やむを得ず調査計画を変更する必要が生じた場合は、速やかに事業者に理由等を説明し、その了解を得ること。
 6 調査の進行状況等については、逐次記録するとともに事業者に説明し、その理解を得るよう努めること。
(3)発掘調査を専門に行う財団法人等が発掘調査を行う場合についても、調査の進行、調査結果に基づく措置に関する指導等は教育委員会が行うものであるから、当該財団法人等との連絡を密にすること。

5.発掘調査の経費

(1)開発事業に伴う埋蔵文化財の発掘調査の経費については、都道府県単位を超えて各地方ブロックごとに標準的な積算基礎を定めて算出するよう努めることとし、負担を求めることとなる事業者に対しては具体的な積算根拠等について十分説明すること。
(2)開発事業に伴う埋蔵文化財の発掘調査の経費の算出に当たつては、調査の実施に必要な器材、器具等は各地方公共団体で可能な限り常備する等により、調査経費の節減に努めること。なお、発掘調査を専門に行う財団法人等に対しては、器材等の整備について指導し、又は必要な助成措置を講ずるよう努めること。

6.調査体制の充実その他

(1)発掘調査、出土品の処理等の拠点となる公立埋蔵文化財センターの整備を進めること。
(2)埋蔵文化財担当職員の充実を図るとともに、その資質・技能の向上のため奈良国立文化財研究所への研修派遣、都道府県段階での研修の充実等について今後とも努めること。
(3)発掘調査担当専門職員については、事情に応じて地方公共団体等相互間の派遣等の措置を講ずるよう努めること。
(4)都道府県及び市町村の教育委員会に埋蔵文化財に関する情報の提供、発掘調査に係る相談等の窓口となる「埋蔵文化財相談担当者」を置き、原則として、埋蔵文化財行政担当課の課長、課長補佐又はそれらに相当する者を充てること。
(5)埋蔵文化財に関する専門的な事項については、必要に応じ、文化財保護に関する審議会に意見を聞く等、適切に対処すること。
(6)埋蔵文化財に関する重要な事項については、速やかに文化庁と連絡をとり、協議の上、適切に対処すること。


縄文学研究室トップ法令集トップ管理人:Nakamura Kousaku
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