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【1995年】
【考古学研究より】
庁保記第144号 
平成7年3月29日

滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県教育委員会教育長 殿
文化庁次長

阪神・淡路大震災の復旧・復興事業に伴う埋蔵文化財の取扱いに関する基本方針について(通知)


 阪神・淡路大震災の復旧工事に係る埋蔵文化財については、平成7年2月23日付け庁保記第144号により、同年5月31日までの取扱いについて通知したところでありますが、同年6月1日以降における埋蔵文化財の取扱いの基本方針を別紙のとおり定めましたので、御了知の上、具体的な運用のための要領の策定その他必要な措置について遺漏のないようお取り計らいください。
 また、貴管下の関係市町村に対し、この趣旨を徹底するとともに、各埋蔵文化財の取扱い等について、適切に御指導くださるようお願いします。



阪神・淡路大震災の復旧・復興事業に伴う埋蔵文化財の取扱いに関する基本方針

 阪神・淡路大震災の復旧・復興事業に伴う埋蔵文化財の取扱いについては、下記に従って行うものとする。

1 取扱いの基本原則

(1)被災地の置かれた状況に鑑み、早急な復興が急務であるとの認議を基本とし、復旧・復興事業の円滑な推進と埋蔵文化財の保護の整合を図るものとする。

(2)埋蔵文化財の保護については、上記の原則を踏まえつつ、被災地の実状に合わせて、適切な措置を執るものとする。

(3)関係の府県は、この「基本方針」に基づき、市町村の意見をきいて「運用要領」を定め、復旧・復興事業と関係する埋蔵文化財の具体的な取扱いに遺漏のないよう措置するものとする。

2 適用範囲等

(1)この「基本方針」は、阪神・淡路大震災の復旧・復興に係る事業(被災建物その他の工作物の撤去・整地・修理・復旧等、被災地城等における建物その他の工作物の新設、土地区画整理事業等)の実施に伴う埋蔵文化財の取扱いについて適用するものとする。

(2)この「基本方針」の適用期間は、平成7年6月1日から平成10年5月31日まで(平成10年5月31日までに文化財保護法第57条の2その他の規定による手続を行ったものまで)とする。
 なお、復旧・復興事業の進捗状況等にかんがみ適用期間の延長が必要な場合は、別途検討し必要な措置を執るものとする。

3 埋蔵文化財の取扱い等

(1)復旧・復興事業等に係る埋蔵文化財の取扱いは、次のとおりとする。

ア)事前の確認調査
 埋蔵文化財の取扱いに関する判断は、原則として、周辺地域における従前の発掘調査等に基づく既存の知見によって行うものとする。
 ただし.周知の埋蔵文化財包蔵地内であって、既存の知見がなく、確認調査を行うことが事業の円滑・迅速な実権に資すると考えられる場合は、状況に応じて確認調査を行いその結果によるものとする。

イ)発掘調査等
a)復旧・復興事業については、可能な限り盛土又は掘削が遺構面に達しない工法を採ること等により遺構の損壊を避けるよう指導するものとする。
b)記録保存のための発掘調査は、原則として、工事による掘削が遺構を損壊する場合に限って行うものとする。
 ただし、被災前の規模・構造を大きく改変しないて行われる建物その他の工作物の復旧については、発掘調査を要しないものとする。
c)発掘調査の範囲・方法・内容については、各具体的な埋蔵文化財の種類、内容、遺構の遺存状況等を総合的に勘案し、弾力的に対応するものとする。

(2)「適用要領」の策定及び運用に際しての留意事項
 この「基本方針」に即して「通用要領」を定め、又は各具体的な埋蔵文化財の取扱いを定めるに際しては、次の事項に留意するものとする。

ア)個人の住宅・店舗、小規模又は簡易な集合住宅、電気・水道木道等の生活関連公共施設、道路の改修・新設等、住民の生活に密着しており、埋蔵文化財への影響が比較的少ない事業に対する対応については、復旧等の迅速な推進に支障を生じないよう配慮すること。

イ)大規模な集合住宅・事業所・公共施設の改修・新設等、相当程度の埋蔵文化財への影響が予想きれる事業に対する対応については、事業実施に関する時間的余裕等事業者側の諸事情に配慮しつつ事業と埋蔵文化財の取扱い内容を調整し、埋蔵文化財の適切な保護に遺漏のないよう措置すること。

ウ)土地区画整理事業等相当規囲にわたり都市の基盤全体に係わって行われる復興事業に対する対応については、その事業計画の段階から事業者側と調整し、埋蔵文化財の調査等を当該事業の内容・進行過程の一部として組み込むこと等により、事業の円滑な推進と埋蔵文化財の適切な保護に遺漏のないよう措正すること。

(3)発掘調査等の体制
 事前の確認調査及び記録保存のための発掘調査の実施については、全国的な協力を得て、各府県において市町村に対する支援等の措正を執り、調査組織を集中的に投入するなど、迅速な対応に努めるものとする。

縄文学研究室トップ法令集トップ管理人:Nakamura Kousaku
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