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【2000年】
【『考古学研究』47-3より】
庁保伝第14号  
平成12年3月10日

各都道府県教育委員会教育長 殿
文化庁次長

文化財保護法及び文化財保護法施行令の一部改正について(通知)

 平成11年7月16日に公布された「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(平成11年法律第87号。以下「地方分権一括法」という。)及び平成12年2月16日に公布された「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う文部省関係政令の整備等に関する政令」(平成12年政令第42号)により、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)及び文化財保護法施行令(昭和50年政令第267号。以下「令」という。)の一部改正が行われ、平成12年4月1日から施行されることとなりました。
 今回の法及び令の改正は地方分権推進計画(平成10年5月29日閣議決定)に基づいたものであり、国と地方公共団体との役割分担の在り方の見直しや、機関委任事務の廃止、地方公共団体に対する関与の見直しなどを主な内容としています。主要な改正点は次のとおりです。

○ 法関係
 1 埋蔵物が文化財であるかどうかの鑑査等の事務を都道府県又は指定都市若しくは中核市の教育委員会が行うこととしたこと(法第60条から第62条lまで)。
 2 所有者不明の出土文化財の所有権の帰属先を原則として都道府県としたこと(法第63条の2)。
 3 文化庁長官の権限に属する事務(土地の発掘及び遺跡の発見に関する事務を含む。)を、政令で定めるところにより、都道府県又は市の教育委員会会が行うこととすることができることとしたこと(法第99条第1項)。
 4 文化庁長官の勧告又は命令により出品された重要文化財等の管理の事務を、政令で定めるところにより、都道府県又は指定都市若しくは中核市の教育委員会が行うこととすることができることとしたこと(法第100条第1項)。
 5 機関委任事務に関する文化庁長官の指揮監督及び当該事務の処理に要する経費の国庫負担を廃止したこと(旧法第104条)。
 6 聴聞、不服申立て等に関する規定を整理したこと(法第85条から第85条の8まで)。

○ 令関係
 1 法第99条第1項の規定により委譲する事務の範囲及びその委譲先を定めたこと(令第5条)。
 2 法第100条の規定により管理の事務を都道府県又は指定都市若しくは中核市の教育委員会が行うこととする場合の要件等を定めたこと(令第6条)。

 この改正については、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律における文部省関係法律の改正について」(平成11年8月11日付文教地第203号文部事務次官通知)及び「地方分権の堆進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う文部省関係政令の整備等に関する政令について」(平成12年2月23日付文教地第249号文部省教育助成局長通知)をもって既にその概要を通知したところですが、改正内容の詳細は下記のとおりですので、十分にご了知の上、適切な事務処理をお観い申し上げます。また、市町村の教育委員会等に対して周知を図るとともに、適切な事務処理が図られるようご配慮願います。
 なお、今回の法及び、令の改正に伴う関係省令の改正については別途通知する予定ですので、あらかじめご承知おき願います。また、関係告示等の取扱いは別紙1のとおりとなります。

(略)

第2 埋蔵文化財関係
1.土地の発掘及び遺跡の発見に関する事務
土地の発掘及び遺跡の発見に関する事務(法第57条から第57条の3まで、第57条の5及び第57条の6)は、次のとおり、都道府県又は指定都市の教育委員会が、それぞれ自治事務として行うこととしたこと(法第99条第1項第6号並びに令第5条第1項第5号及び第2項)。
 ○埋蔵文化財に関する資料の提出については、別途依頼する予定である。

(1)調査のための発掘
 埋蔵文化財の調査のための発掘に関しての届出の受理、指示及び命令(法第57条)は、都道府県の教育委員会が行う(法第99条第1項第6号及び令第5条第1項第5号)。
 ○発掘の禁止又は中止命令(法第57条第2項)を行おうとするときは、聴聞を行わなければならない(法第85条)(第8 2.参照)。

(2)土木工事等のための発掘
 国の機関等以外の者が行う土木工事等のための発掘に関しての届出の受理及び指示(法第57条の2)は、都道府県(指定都市の区域内における土地の発掘については、当該指定都市)の教育委員会が行う(法第99条第1項第6号及び令第5条第2項)。
 ○土木工事等のための発掘の届出に閑し、「当該発掘前における埋蔵文化財の記録の作成のための発掘調査の実施」を指示することができることを法律上明記した(法第57条の2第2項)。

(3)国の機関等が行う土木工事等のための発掘
 国の機関等が行う土木工事等のための発掘に関しての通知の受理、協議を求めるべき旨の通知、協議及び勧告(法第57条の3)は、都道府県の教育委員会が行う(法第99条第1項第6号及び令第5条第1項第5号)。
 ○都道府県の教育委員会がこれらの事務を行う場合には、法第57条の3第5項の規定は通用しない(法第99条第3項)ことから、これらの通知等は文部大臣を通じないで行うこととなる。

(4)遺跡の発見
 国の機関等以外の者による遺跡の発見に関しての届出の受理、命令、意見の聴取、期間の延長及び指示(法第57条の5)は、都道府県(指定都市の区域内における遺跡の発見については、当該指定都市)の教育委員会が行う(法第99条第1項第6号及び令第5条第2項)。
 ○法第57条の5第2項の規定による命令を都道府県又は指定都市の教育委員会が行った場合には、当該事務が自治事務であることから、同条第9項の規定にかかわらず、当該都道府県又は指定都市の教育委員会が補償の額を決定して通常生ずべき損失を補償し、また、当該補償額に不服のある者による増額の請求の訴えは、当該事務を行った都道府県又は指定都市を被告とすることとなる(法第99条第4項から第7項まで)(第8 4.参照)。
 ○遺跡の現状を変更する行為の停止命令若しくは禁止命令(法第57先の5第2項及び第7項)又はこれらの命令の期間の延長(同条第5項及び第7項)をしようとするときは、聴聞を行わなければならない(法第85条)(第8 2.参照)。

(5)国の機関等による遺跡の発見
 国の機関等による遺跡の発見に関しての通知の受理、協議を求めるべき旨の通知、協議及び勧告(法第57条の6)は、都道府県の教育委員会が行う(法第99条第1項第6号及び令第5条第1項第5号)。
 ○都道府県の教育委員会がこれらの事務を行う場合には、法第57条の6第5項の規定は通用しない(法第99条第3項)ことから、これらの通知等は文部大臣を通じないで行うこととなる。

2.文化庁長官による事務の処理
 我が国にとって歴史上又は学術上の価値が特に高いと認められる埋蔵文化財について、文化庁長官がその保護上特に必要があると認めるときは、都道府県又は指定都市の教育委員会が行うこととした文化庁長官の権限に属する事務(届出の受理及び通知の受理を除く。)を自ら行うことを妨げないこととしたこと(令第5条第1項ただし書及び第2項ただし書)。
 ○文化庁長官が自らこれらの事務を行う場合には、書面により、当該事務を行うこととされている都道府県又は指定都市の教育委員会に通知する(新地方自治法第250条の6)。

3.出土文化財に関する事務
 警察署長から提出された物件の受領(法第60条)、当該物件の鑑査並びに通知及び差戻し(法第61条)並びに警察署長への引渡し(法第62条)は、次のとおり、都道府県又は指定都市若しくは中核市の教育委員会が自治事務として行うこととしたこと(法第60条から第62条まで)。

(1)埋蔵物として差し出された物件が文化財と認められるときは、警察署長は、当該物件を都道府県(当該物件の発見された土地が指定都市又は中核市の区域内に有する場合は、当該指定都市又は中核市)の教育委員会に提出する(法第60条)。

(2)警察署長から提出された物件が文化財であるかどうかについての鑑査、物件を文化財と認めた場合の警察署長への通知及び文化財でないと認めた場合の警察署長への物件の差戻しは、当該物件の提出を受けた都道府県又は指定都市若しくは中核市の教育委員会が行う(法第61条)。

(3)都道府県若しくは指定都市若しくは中核市による発掘調査により発見された文化財(法第59条第2項)又は都道府県若しくは指定都市若しくは中核市の教育委員会の鑑査を経た文化財(法第61条第2項)の所有者から警察署長に返還の請求があったときは、当該文化財の警察署長への引渡しは、当該発掘調査又は鑑査を行った都道府県又は指定都市若しくは中核市の教育委員会が行う(法第62条)。
 ○文化庁長官による発掘調査により発見された文化財(法第59条第1項)については、従来どおり、文化庁長官が引渡しを行う。

4.所有者不明の出土文化財の所有権の帰属
 所有者が判明しない出土文化財の所有権は、次のとおり、国又は都道府県に帰属することとしたこと(法第63条及び第63条の2)。

(1)文化庁長官による発掘調査により発見された文化財(法第59条第1項)又は国立博物館、国立文化財研究所、国立大学その他の国の機関による発掘調査により発見された文化財で、その所有者が判明しないものの所有権は、国庫に帰属する(法第63条第1項前段)。この場合においては、文化庁長官は、土地の所有者にその旨を通知し、かつ、当該文化財の価格の2分の1に相当する額の報償金を支給する(法第63条第1項後段)。ただし、報償金の支給にかえて、当該文化財を譲与することができる(法第64条)。
 ○国立博物館及び国立文化財研究所については、独立行政法人化後も引き続き、その発見した文化財で所有者が判明しないものの所有権は、国庫に帰属することとなる(独立行政法人国立博物館法(平成11年法律第178号)附則第9条及び独立行政法人文化財研究所法(平成11年法律第179号)附則第8条による改正後の法63条第1項l)。

(2)都道府県若しくは指定都市若しくは中核市による発掘調査により発見された文化財(法第59条第2項)又は都道府県若しくは指定都市若しくは中核市の教育委員会の鑑査を経た文化財(法第61条第2項)(上記(1)で国庫に帰属するものを除く。)で、その所有者が判明しないものの所有権は、当該文化財の発見された土地を管轄する都道府県に帰属する(法第63条の2第1項前段)。この場合においては、当該都道府県の教育委員会は、当該文化財の発見者及び土地の所有者にその旨を通知し、その価格に相当する額の報償金を支給する(法第63条の2第1項後段)。ただし、報償金の支給にかえて、当該文化財を譲与することができる(法第64条の2)(下記5.参照)。
 ○報償令の額は当該都道府県の教育委員会が決定し(法第63条の2第3項)、報償金の額に不服のある者による増額請求の訴えは当該都道府県を被告とすることとなる(法第63条の2第4項において準用する法第41条第3項及び法第63条の2第5項)。

5.都道府県帰属の出土文化財の譲与
 都道府県の教育委員会は、当該都道府県に帰属した出土文化財の保有のため又はその効用から見て当該都道府県が報償金を支給して保有する必要がある場合を除いて、発見者又は土地の所有者に、その者が受けるべき報償金の額に相当するものの範囲内で譲与することができることとした(法第64条の2)。
 ○都道府県に帰属した出土文化財は、都道府県の物品(地方自治法第239条)となるものであり、都道府県の財産を発見者又は土地所有者以外の第三者に譲与又は譲渡することについては、地方自治法第237条第2項の規定による条例又は議会の議決の定めるところによる。

6.出土文化財の帰属及び報償金の支給に関する経過措置
 出土又化財の帰属及び報償金の支給について、次のとおり、経過措置を設けたこと(地方分権一括法附則第58条及び第59条)。
(1)地方分権一桁法の施行の日(平成12年4月1日。以下「施行日」という。)前に発見された文化財で、警察署長に差し出されてから公告後6か月満了までの期間中であるため施行日の時点で所有者が判明していないものの所有権は、所有者が判明しないまま公告後6か月を経過したときに、文化庁長官又は国の機関による発掘調査により発見されたものについては国庫に帰属し、その他のものについては都道府県に帰属する(地方分権一括法附則第58条、遺失物法(明治32年法律第87号)第13条及び、民法(明治29年法律第89号)第241条)。
 ○この場合の通知及び報償金の支給については、国庫に帰属した文化財については文化庁長官が、都道府県に帰属したものについては当該都道府県の教育委員会が行う。

(2)旧法第63条第1項の規定により国庫に帰属した文化財のうち、施行日に現に地方公共団体において保管しているものの所有権は、国が保有し物品管理官又は分任物品管理官が管理しているもので、地方公共団体に貸し付けているものを除き、当該文化財を保管している地方公共団体に帰属する(ただし、施行目の前日(平成12年3月31日)までに当該地方公共団体から別段の申出があった場合は帰属しない)こととした(地方分権一括法附則第59条)。
 ○この経過措置により、施行日において「現に地方公共団体において保管しているもの」及びその所布権の帰属の取扱いは以下のようになる。
  @ 都道府県又は市町村が、国庫に帰属した出土文化財そのものを保管している場合には、その所有権は当該都道府県又は市町村に帰属する。
  A @の場合を除き、都道府県又は市町村による発掘調査(旧法第98条の2等)により発見された出土文化財で国庫に帰属したものの所有権は、それぞれ当該都道府県又は市町村に帰属する。
  B @の場合を除き、都道府県若しくは市町村の設立に係る埋蔵文化財の調査を目的とする法人又は都道府県若しくは市町村が主体となって組級した調査会その他の発掘調査組織による発掘調査により発見された出土文化財で国庫に帰属したものの所有権は、それぞれ当該文化財の発見された土地を管轄する都道府県又は市町村に帰属する。
  C @からBまでにより都道府県又は市町村に帰属したもの以外の出土文化財は、引き続き国庫に帰属する。
 ○地方公共団体が地方分権一括法附則第59条ただし書の規定による申出を行う場合の手続については、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律附則第五十九条ただし書の規定に基づき地方公共図体からの別段の申出の手続を定める省令」(平成11年文部省令第33号)において定められている。

7.その他の規定整備
 地方公共団体による発掘の施行の規定(旧法第98条の2)を文化庁長官による発掘の施行の規定(法第58条)の次に移動したこと(法第58条の2)。その他所要の規定の整備を行ったこと(法第57条の6第59条及び第64条)。

(以下略)



縄文学研究室トップ法令集トップ管理人:Nakamura Kousaku
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