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【1975年】
【『東京都文化財保護提要』より】
庁保管第191号  
昭和50年9月30日

各都道府県教育委員会教育長 殿
文化庁次長

文化財保護法の一部を改正する法律等の施行について

 文化財保護法の一部を改正する法律(別紙1)が、さきの第75回国会において成立し、昭和50年7月1日、法律第49号をもって公布され、同年10月1日から施行されることとなり、これに伴い、文化財保護法施行令(以下「施行令」といぅ。)(別紙2)が同年9月9日、政令第267号をもつて公布され、また、文化財保護法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(以下「整備政令」という。)(別紙3)が、同年9月30日、政令第293号をもって公布され、両政令とも同年10月1日から施行されることとなりました。
 このたびの改正は、昭和29年に制定された文化財保護法の一部を改正する法律の施行から今日までの間におけろ広範で急激な経済的社会的変動とこれに伴って生じた文化財保護の一層の充実強化の必要性にかんがみ、緊急に措置すべき事項について制度の整備を図るため行われたものであり、その主要な点は次のとおりであります。
 1 民俗文化財の制度を整備したこと。
 2 埋蔵文化財に関する制度を整備したこと。
 3 伝統的建造物群保存地区制度を設けたこと。
 4 文化財の保存技術の保護制度を設けたこと。
 5 地方公共団体における文化財保護行財政体制を整備したこと。
 このたびの法改正は、以上のような主要な事項を含めて法律全体にわたる大幅なものであり、その実施運用に当たっては、下記事項を参照の上、遺憾のないよう措置するとともに、関係機関及び、管下市町村等に対し趣旨の徹底方につきよろしくお取り計らい願います。
 なお、このたびの法改正等に伴う文部省令の改正等については、おつて通知します。


(略)

第五 埋蔵文化財関係

1 調査のための発掘の届出に関する規定を整備したこと(法第57条)。

(1)旧法においては、調査の対象として「埋蔵物である文化財」と規定されていたが、「埋蔵物」の語は、民法及び遺失物法における用例と混同されるおそれがあったため、これを、「土地に埋蔵されている文化財」に改めた(第1項)。

(2)調査結果の報告書の提出は、従来から発掘届に対する指示の一部としてきたのであるが、これを指示事項の一つとして規定上明らかにした(第2項)。


2 周知の埋蔵文化財包蔵地における土木工事等の事前届出の時期を三十日間早めて土木工事等の着手の六十日前としたこと(法第57条の2)。
(注)周知の埋蔵文化財包蔵地における土木工事等と埋蔵文化財の保護との調整については、法第57条の3の規定による国の機関等の場合の特例的取扱いを除いて、これまで行われてきたところと異なるものではないので、この点を留意の上従前どおり適切な運用に配慮されたい。
 なお、法第57条の3に規定する場合を含め、土木工事等が非常災害のために必要な応急措置として行われるときは、適用がない。


3 国の機関、地方公共団体又は国若しくは地方公共団体の設立に係る法人で政令の定めるもの(以下「国の機関等」という)が周知の埋蔵文化財包蔵地において土木工事等を行おうとするときは、法第57条の2の規定を適用しないものとし、協議等の特例的取扱いをすることとしたこと(法第57条の3)。

(1)周知の埋蔵文化財包蔵地において土木工事等をしょうとする国の機関等は、当該土木工事等の事業計画の策定に当たり、あらかじめ、文化庁長官に通知しなけれはならないこととした(第1項)。
 (注1)国の機関等とは、国の機関、地方公共団体又は国若しくは地方公共団体の設立に係る法人で施行令第1条に列挙するもの(宇宙開発事業団はじめ42法人)及び同条の規定により文化庁長官が指定するものをいう。なお、文化庁長官が指定するものについては、おって通知する。
 (注2)本条の規定による国の機関等の通知の時期については、事業の性格等に応じて合理的な時期とする必要があるが、当該通知は、国の機関等が各省各庁の長である場合を除き、都道府県教育委員会を経由して行われることとなる(第5項及び法第103条)。ついては、土木工事等の事業計画について当該国の機関等と都道府県教育委員会との間で本条第1項の通知の前のできるだけ早期に事実上の連絡調整が行われるようにするのが望ましく、本条の規定による文化庁長官への通知を進達する場合は、事前の調整、協議の経過及び結果の概要と都道府県教育委員会の意見を付するよう配慮されたい。
 (注3)本条の規定による国の機関等の行う土木工事等についての特例的取扱いは、従来の各種公団等との覚書等による慣行を前提として制度化されたものであるので、従来の覚書等による慣行のうち今回の改正によって制度化されなかった協議の具体的方法等の細目に係るものについては、従前どおり運用することとなっているので、留意されたい。

(2)本条第1項の規定による通知があった場合において、埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、文化庁長官は、当該国の機関等に対して、当該土木工事等の事業計画の策定及びその実施について協議を求めるべき旨の通知をすることができ、通知を受けた国の機関等は、文化庁長官に協議しなければならないこととした(第2項及び第3項)。
 (注)協議を求めるペす旨の通知及び(3)の勧告は、可能な限り速やかに行う方針であり、具体的取扱いとしては、六〇日以内に行うこととしたい。また、協議を進めるに当たっても、可能な限り速やかに当該協議を終了することが望ましいので、各都道府県教育委員会においても適切な措正につき配慮されたい(第57条の6の規定による場合も同様である。)。

(3)本条第1項の規定による通知があった場合において、協議を求める必要のない場合においては、文化庁長官は、当該事業計画の実施に関し、埋蔵文化財の保護上必要な勧告をすることができることとした(第4項)。
 (注1)勧告の内容としては、地方公共団体の専門職員の立会いに関すること等の軽微な事項が考えられる。
 (注2)本条第3項の規定による協議を要するか又は第4項の規定による勧告で足りるかについては、個々具体的な事業計画、埋蔵文化財との関係等に則して、合理的かつ適切に判断することとしている(第57条の6の規定による場合も同様である。)。


4 周知の埋蔵文化財包蔵地について、国及び地方公共団体は、その周知の徹底を図るため、資料の整備その他の必要な措置の実施に努めなけれはならないこととし、国は、地方公共団体の行うそれらの措置につき指導、助言その他の必要と認められる援助をすることができることとしたこと(法第57条の4)。
 (注1)埋蔵文化財包蔵地の周知の徹底のための措置は、文化庁及び各地方公共団体において分布調査の実施、遺跡台帳の作成、遺跡地図の作成・配布等を行ってきたが、本条にいう資料の整備その他の措置は、従来行ってきたこれらの措置全体を示すものであり、今後その一層の計画的推進と拡充について十分な配慮と努力が要請されることとなった。
 (注2)地方公共団体に対する国の指導、助言、援助としては、資料の提供、技術的指導、地図等の配布等及び財政的か援助措置等も含まれるものである。
 (注3)未知の遺跡が発見された場合等新たに埋蔵文化財包蔵地が確認されたときは、この旨を文化庁に報告し、また、これを遺跡台帳に登載する等により、その所在の周知の措置を講ずるよう配慮されたい。


5 遺跡と認められるものの発見について、旧法第84条において規定されていたと同様に届出を要することとし、発見された遺跡の保護上必要がある場合における遺跡の現状を変更することとなる行為の停止命令等の措置について新たな制度を設けたこと(法第57条の5)。

(1)土地の所有者又は占有者が、出土品の出土等によつて貝づか、住居跡、古墳その他遺跡と認められるものを発見したときは、その現状を変更することなく、遅滞なく、文化庁長官に届け出なけれはならないこととした(第1項)。
 (注)法第57条第1項の規定による届出をして実施した調査によって遺跡を発見した場合は、同条第2項の規定による指示として報告書の提出が義務づけられるので、本条の規定による届出は不要とした(第1項)。

(2)遺跡発見の届出があった場合において、当該届出に係る遺跡が重要なものであり、かつ、その保護のため調査を行う必要があると認めるときは、文化庁長官は、関係地方公共団体の意見を聴いてその土地の所有者又は占有者に対し、期間及び区域を定めて、遺跡の現状を変更することとなる行為の停止又は禁止を命ずることができることとした(第2項及び第3項)。
 (注1)停止(遺跡と認められるものの発見に至るまで継続していた行為を中断したままとすることをいう。)又は禁止(遺跡と認められるものの発見後に着手を予定されている行為の実行をあらかじめ止めることをいう。)の命令は、遺跡発見の届出があった日(届出書が都道府県教育委員会に到達した日(法第103条第4項)。以下同じ。)から一箇月以内にしなけれはならず、命令によって遺跡の現状を変更することとなる行為を止めさせておくことのできる期間は、遺跡発見の届出があった日から起算して三箇月(改正法施行後五年間は六箇月)を超えることができないが、命令された期間内に調査が完了せず、引き続いて調査を行う必要があるときは、一回に限り、最初の命令の期間と通算して六箇月(改正法施行後五年間は九箇月)を超えない範囲でその期限を延長することができることとした(第2項、第5項、第6項及び改正法附則第2項)。
 (注2)遺跡の現状を変更することとなる行為の停止等の期間について、改正法施行後五年間に限り、特例を設けているのは、地方公共団体における発掘調査体制の現状にかんがみ、今後五年間にその充実を図り、停止等の命令に伴う、定められた期間内での調査に十分対処できるようにする趣旨の措置である。ついては、都道府県教育委員会においては、地方公共団体における埋蔵文化財保護担当職員の確保等の体制の充実に一層の配慮と努力が望まれる。
 (注3)停止等の命令の措置を執った場合を除き、遺跡の保護上必要な指示をすることができることとした(第7項)。
 (注4)遺跡と認められるものが発見されているにもかかわらず、届出が行われない場合においても、停止等の命令及び必要な事項を指示することができることとした(第7項)。
 (注5)停止等の命令によって損失を受けた者に対しでは、国は、その通常生ずべき損失を補償することとした(第9項)。
 (注6)発見された遺跡の保護については、その所在する土地の所有者又は占有者その他の関係者と十分話し合い、その協力を得て適切な措置を執ることが肝要であり、土木工事等の停止等の命令は、そのような話合いや事実上の協力が得られない特殊な事態における最終的な手段として運用すべきものと考える。また、これらの命令は、私有財産に対する強い規制となるものであるので、その運用には、当然に、特に慎重を期すべきものである。ついては、都道府県教育委員会においても、発見された遺跡の保護については、従来と同様関係者と十分話し合い、その協力を得て遺憾なきを期するよう配慮することが望まれる。なお、重要な遺跡が発見された場合における緊急の事態に対処する方法としては、本条の規定による命令等のみならず、史跡指定又は仮指定の活用等制度全体の有機的かつ合理的な運用も必要と考えられる。


6 国の機関等が遺跡と認められるものを発見したときは、法第57条の5の規定を適用しないものとし、協議等特例的取扱いをすることとしたこと(法第57条の6)。

(1)国の機関等が遺跡と認められるものを発見したときは、その現状を変要することなく、遅滞なく、文化庁長官に通知しなけれはならないこととした(第1項)
 (注1)本条の規定による周知も、国の機関等が各省各庁の長である場合を除き、都道府県教育委員会を経由して行われることとなるので(第5項及び法第103条)、本条の規定による制度の運用に当たっても前記3(1)(注2)において述べたところに準じて措置されたい。
 (注2)法第57条第1項又は法第98条の2第1項の規定による調査によって遺跡を発見した場合は、報告書の提出があるので、本条の規定による通知は不要とした(第1項)。

(2)本条第1項の規定による通知があった場合において、遺跡が重要なものであり、かつ。その保護のために調査を行う必要があると認めるときは、文化庁長官は、当該国の機関等に対し、その調査、保護等について協議を求めるべき旨の通知をすることができ、通知を受けた国の機関等は、文化庁長官に協議しなけれはならないこととした(第2項及び第3項)。
 (注)協議を求めるべき旨の通知及び(3)勧告は、可能な限り速やかに行う方針であり、具体的取扱いとしては、三十日以内に行ぅこととしたい。

(3)本条第1項の規定による通知があった場合において、協議を求める必要のない場合においては、文化庁長官は、当該遺跡の保護上必要な勧告をすることができることとした(第4項)。
(注1)勧告の内容としては、地方公共団体の専門職員の立会いに関すること等の軽教な事項が考えられる。
(注2)国の機関等による遺跡の発見は、法第57条の3の規定による協議等の対象となった土木工事等によるものが相当数にのぼるものと考えられるので、運用上は法第57条の3の規定による協議に際し、遺跡が発見された場合の取扱いについても、あらかじめ定めておくことが望ましい。


7 文化庁長官の行う発掘の施行に関する規定(法第58条)を地方公井団体の行う発掘に関する権限についての改正と関連しで改正したこと(第11−1を参照されたい。)。

(中略)

第11 地方公共団体及び教育委員会関係

1 地方公共団体は、法第58条の規定により文化庁長官が行うものを除き、埋蔵文化財について調査する必要があると認めるときは、発掘を施行することができることとし、地方公共団体の発掘調査に関する権限を明らかにするとともに、これに伴い関係の事項につき規定を整備したこと(法第98条の2及び第98条の3)。
 (注1)地方公共団体の発掘調査に関する権限を明らかにしたことと関連し、文化庁長官が発掘を施行することのできる埋蔵文化財についての要件を定め、文化庁長官が施行することのできる発掘の範囲を明らかにした(法第58条第1項)。
 (注2)本条の規定の連用を受ける地方公共団体には、学術的研究を行う大学、博物館、研究所等の機関は含まれない。

(1)埋蔵文化財の発掘調査に関する地方公共団体の権限を明らかにしたことに伴い、地方公共団体の行う発掘調査については、法第57条の規定は連用されないこととなるので、地方公共団体の行う発掘については、別途、文化庁長官に対し、その着手の三十日前までに法第57条第1項の規定による届出に準ずる方式により、通知されたい。

(2)地方公共団体が国の所有に属し、又は国の機関の占有する土地において発掘をしょうとするときは、教育委員会は、発掘の目的等について関係各省各庁の長等と協議しなけれはならないこととした(法第98条の2第2項)。
 (注)法第57条の3又は第57条の6の規定による協議の結果調査を行う場合にあっては、実質上本項の協議を了したものとして取り扱って差し支えない。

(3)地方公共団体は、その実施する発掘に関し事業者に協力を求めることができることとした(法第98条の2第3項)。
 (注)地方公共団体の行ぅ発掘は、実態上開発行為の事前調査として行われることが多いことにかんがみ、発掘の原因となった開発行為の事業者に対して、発掘費用の負担を含め、従来のような協力を求めることができるよう規定を整備したものである。なお、地方公共団体は、協力を求めようとする場合、当該事業の性格、規模、事業者の能力等を勘案し、埋蔵文化財の保護及び調査の施行等が円滑、適切に推進されるよう配慮することが望まれる。

(4)地方公共団体の行う発掘に要する経費につき、国はその一部を補助することができることとした(法第98条の2第5項)。

(5)文化庁長官は、地方公共団体の行ぅ発掘に関して必要な指導及び助言をすることができることとした(法第98条の2第4項)。

(6)都道府県教育委員会の行った発掘によって発見された出土品については、文化庁長官の行う発掘によって発見されたものに関する手続と同様、遺失物法の規定にかかわらず、警察署長にその旨を通知することをもつて足りることとした(法第98条の3)。

(略)

第13 附則関係

(略)

5 埋蔵文化財関係
(1)遺跡発見の際の文化庁長官による停止又は禁止命令の期間については、法第57条の5の規定により届出のあった日から三箇月を超えてはならず、延長の場合においても六箇月を超えてはならないこととしたが、改正法施行後五年間は、地方公共団体の発掘調査体制の現状等にかんがみ、それぞれ六箇月、九箇月とすることとした(改正法附則第2項)。(第5−5(2)参照)

(2)改正法施行前に旧法第57条の2第1項の規定によってした届出に係る発掘については、法第57条の2及び第57条の3の規定にかかわらず、旧法第57条の2の規定の例によることとした(改正法附則第5項)。

(3)改正法施行前に法第57条の3第1項に規定する事業計画を策定した同項に規定する国の機関等は、当該事業計画の実施につき旧法第57条の2第1項の規定による届出をしたものを除き、改正法施行後遅滞なく、文化庁長官に通知しなければならないこととした(改正法附則第6項)。

(4)改正法施行前に発見された遺跡と認められるものについては、旧法第84条第1項の規定による届出又は同法第90条第1項の規定による通知の有無にかかわらず、なお、従前の例によるものとした(改正法附則第7項及び第8項並びに施行令第5項)。

(以下略)
縄文学研究室トップ法令集トップ管理人:Nakamura Kousaku
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