卒業論文第1次題目メモ縄文学研究室トップ研究ノートトップ
 卒論の1次題目について指導教授(小林達雄先生)と相談するために書いたメモの原稿、というよりも自分の構想を整理し、教授の前に立ちふさがる助手に私の考えを説明するためのメモを、相談結果をふまえて再構成したものである。なお、助手との相談は10月17日。教授との相談は21日。教務課提出は22日である。(02/10/27)

題目:縄文時代後期における墓域の研究

※今回一番迷ったのは題目である。「墓域」を「墓制」あるいは「土坑墓群」とすることも考えたが、後述のように対象とする土坑群が墓であることを前提とするか否かという点や、他の墓制との関係をどうするかという点を踏まえ、当時の空間利用を問題とするために「墓域」を選ぶことにした。また「研究」については「様相」「展開」なども考えたが現時点では論旨の展開が明確でないため教授の指導で「研究」とした。

章立て(明確でない場合は扱う時期、資料、方法論などを書く)

目次
図表目次
凡例
1.はじめに
 葬送は誕生・成人・結婚など他の人生儀礼に比べても最も普遍的に行なわれてきた儀礼であり、それを物質化したのが墓である。墓を設ける理由は種々あるだろうが、多数の情報を内包している。この普遍性と情報内包性は古今東西に認められるものであり、現代的意義も強い。
 私は、これらの点から墓制に興味を持ち、特に変化・差異に注目し、所属する研究会で縄文時代および現代の墓制についていくつかの発表を行なってきた。それらを踏まえ、卒業論文においては縄文時代後期における関東地方の墓制の一端について検討したい。

2.墓制研究の視点と課題
・文化人類学、民族学、民族学、文献史学等の墓制研究の動向を概観。
・欧米考古学における墓制研究の動向を概観・検討。
・日本考古学における墓制研究の動向を概観・検討。

3.縄文時代墓制研究の成果と課題
《成果》
・人骨出土例をもとに埋葬姿勢、副葬品、形態等の全国的傾向はある程度判明している。
・北海道、北東北、関西、中四国、九州では近年墓制資料の集成がされている。
・配石墓、周堤墓、廃屋墓、盤状集骨、多数合葬、埋甕、土器棺、再葬等の特徴的な墓制の研究は充実している。
・東日本全体での集落との関係の見通しはある程度判明している。

《課題》
・細かい時期・地域毎の様相は貝塚地域を除くと不明。
・最大多数の土坑墓を対象とした研究は少ない。

※中期段階において集落の研究が進んでいることもあり、墓制研究でも関東の事例が多く紹介されるのに対し、後期にいたるとなぜか北東北の環状列石などが紹介されることが多い。また、関東地方の墓制研究は配石墓などを除けば千葉県の資料を対象としたものが圧倒的に多い。これは人骨が出土するためであるが、それらの研究を周辺地域に応用することも考える必要があろう。本論は、そのための試論を提示したい。

4.本稿の目的および対象資料
《目的》
・地域・時期を限定し、土坑墓の展開を明らかにする。

《対象資料》
時 期:縄文時代後期を中心とする時期。(中期末〜晩期を若干含む)
中心地域:東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県。
比較地域:静岡県・山梨県・茨城県・栃木県・福島県・新潟県・長野県。
分析資料:土坑墓・土坑墓群。
分析単位:土坑墓群もしくは遺跡。

※ここで問題となったのが、「土坑墓群」の認定方法である。単体の土坑墓の認定方法は既に人骨出土例との比較から、形態・出土品・覆土の堆積状況、配石の有無などで認定されていた。一方で、住居との位置関係をふまえ土坑群全体を土坑墓群としている場合も少なくない。私は、当初個々の土坑を対象にすると認定が繁雑になることから、土坑群を一括して分析単位とし、それを墓域と認定することで、空間論を展開したいと考えていた。これに対し、時期毎の特徴や墓域の計画性を考える場合、複数の土器型式期にわたる土坑群を一括してしまうと分析の意味がなくなると指摘された。また個々の墓壙でなく「群」を取扱う意味についても明確にする必要も指摘された。これらの点については後日整理したい。

5.事例検討
《検討候補遺跡》※土坑墓群の見つかっていない遺跡については除外。
神奈川県:南足柄市狩野馬場遺跡、塚田遺跡、五段畑遺跡、大井町金子台遺跡、大磯町石神台遺跡、秦野市寺山遺跡、曽谷吹上遺跡、伊勢原市三ノ宮下谷戸遺跡、三ノ宮前畑遺跡、下北原遺跡、坂戸遺跡第2地点、東大竹山王塚(八幡台)遺跡、平塚市王子ノ台遺跡、綾瀬市上土棚南遺跡、杉久保遺跡、藤野町川尻(谷ケ原)遺跡、椚戸中原遺跡、横浜市小丸遺跡、華蔵台遺跡、華蔵台南遺跡、牛ヶ谷遺跡、神隠丸山遺跡、京塚遺跡、川和向原遺跡、原出口遺跡、杉山神社遺跡、三の丸遺跡、山田大塚遺跡、称名寺貝塚、川崎市岡上丸山遺跡、下原遺跡ほか

東京都:町田市なすな原遺跡、田端遺跡、多摩ニュータウンNo.194遺跡、野津田上野原遺跡、多摩市新堂遺跡、青梅市寺改戸遺跡、喜代沢遺跡、杉並区高井戸山中、渋谷区豊沢貝塚第2地点、北区西ケ原貝塚、ほか

埼玉県以下未定

6.分 析
・類型化
  土坑墓群を形成する土坑墓の諸属性(出土品、サイズ、方向、配石など)
  土坑墓群の諸属性(立地、居住域との位置関係、密集度、配石など)
・モデルの作成

※今後のためにも、まずモデルをつくる作業を行なうことを勧められた。そこで、類型を設定し、一遺跡における土坑墓群の展開(類型の変化パターンもしくは不変パターン)を探ることにした。

7.考 察
・分析を踏まえ、対象資料の地域差、時期差、系統関係等について整理を行なう。

8.結 論
・4〜7のまとめ。

9.課題と展望

謝辞
補注
引用参考文献一覧
図表出典一覧

(2002.10.16)
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