トピックス

−ニュースや身近の話題について私の意見・感想を書くコーナーです−
〜99/3〜99/6〜99/9〜99/12〜00/3〜00/6〜00/8〜00/9〜00/12〜01/3〜01/6〜01/9〜01/12


2月28日(木) 国立能楽堂企画公演「絵解きと能 −立山曼荼羅絵解−」
 中世から近世にかけて、信仰を広めるため寺社の由来や境内などを描いた絵巻物や参詣曼荼羅が盛んに作られた。これらは中世当時の様子を生き生きと描き出している点で歴史学的にも注目されている。最近の歴博の企画展「何がわかるか、社寺境内図」でも立山曼荼羅の諸本が展示とビデオによる解説が行われており関心を持っていたところであった。
 立山曼荼羅は立山の開創縁起、山内の紹介(地名伝説など)、行事(布橋灌頂)の紹介、極楽・地獄の様相などの要素が一枚の絵に盛り込まれており、単なる境内地図ではない。そこには解説が不可欠である。この解説が「絵解き」である。曼荼羅を掲げそこに描かれた事象に関して1つずつストーリーを追いながら説明し、立山への信仰に導くというのが本来の姿である。
 と、頭では分かっていても実際にどのように使われたかについては今ひとつ実感が無かった。国立能楽堂でこの絵解きが行われると知り、これを聞きに行った。
 前半は、立山を開いたと伝えられる佐伯有頼からつづくという魚津市大徳寺の佐伯昭彦住職による絵解きで、上述した開創縁起から立山地獄まで
2月24日(日) 神奈川県考古学会「考古学講座 かながわの中世 〜鎌倉から小田原へ〜」

2月23日(土) 國學院大學学術フロンティア事業「シンポジウム 無形文化の記録保存に関する動画像の過去と未来」

2月17日(日) 伊勢原市第15回考古資料展

2月3日(日) パーソナライズミュージアム 〜東京大学総合研究博物館「デジタルミュージアムIII」〜
 東京大学総合研究博物館で開催中の「デジタルミュージアムIII」を見学してきた。同館では坂村健氏を中心にとしたデジタルミュージアム技術の研究の成果を97年に「デジタルミュージアム 電脳博物館−博物館の未来−」展、2000年に「デジタルミュージアム2000」展として示してきた。後者については「共同実験 縄文の記憶」を含んだもので2000年3月15日に見学したが、今一つまとめられず、見学記は書くことができなかった。
 改めて図録を見直してみると、基本的なコンセプトは一貫している。すなわち、誰でも、何時でも何処からでも、どのようにでも展示が見られるという「3つのオープン」で、「蓄積・利用・ネットワーク」の3つの機能からなる。具体的にはデジタルアーカイヴ・バーチャルミュージアム・パーソナライズミュージアム・分散ミュージアムである。
 デジタルアーカイヴのデータをもとに、バーチャルミュージアム=仮想博物館がコンピュータ上に作られる。MMMUDと呼ばれる、ゲーム技術を応用した三次元のバーチャル空間に資料画像が配され、クリック1つで解説画面が現れる。複数人が同一画面上で資料を見ながら会話することも可能だという。今のところゲームほどのリアリティはないのが残念だ。また、二次元だがデータベースもこの仲間といえよう。なお、ネットワークを使った分散ミュージアムは前回、高速回線を利用し東大に居ながらにして歴博の展示を見るという実験が行われている。
 それでは実物は不要と考えられているのかといえばそうではない。実物の保存という面を除いても、両者は対立するものではなく、相互に補完するものであるという。そして、その橋渡しとなるのがパーソナライズミュージアムの概念である。
 私が、今回最も関心を持ったのがこの技術である。実際にはカードを渡され(今回は図録とセットになっていた)、最初に言語、文字の大小、解説レベルなどをカードに登録する。これを展示室内に設置してある端末に置くと、その人にあった解説が表示されるのである。関心分野を登録しておけば、それにあったコースを選んでくれる。今回は、史料編纂所が作成した人物肖像画の模本のデジタル映像のうち、気に入ったものをカードに登録しておくと、家でその解説と画像が見られるというシステムであった。
 こうした個人にあわせた情報提供が可能になるのはなかなか興味深いところである。坂村氏が指摘するように従来の展示は対象が絞りきれず主題がボケてしまうことがあったが、こうしたシステムによってその心配はなくなるだろう。多少、気になった部分もあったが実際に運用する段階では解決するだろう。

 こうした技術は、既に東博内外の特別展で実際に利用されているという。下で述べた東博の展示では技術そのものの展示という観もあったが、今後、資料に関する情報提供の手段として一般的に利用されていくことを期待したい。


東京大学総合研究博物館
 ・『DIGITAL MUSEUM 電脳博物館−博物館の未来』 1997
 ・デジタルミュージアム2000
 ・坂村健「東京大学デジタルミュージアム」『Ourobros』1-1 1996.9
 ・坂村健「デジタルミュージアム −博物館情報インフラストラクチャの構築−」『Ourobros』1-3 1997.3
 ・坂村健「理想のデジタルミュージアム建築」『Ourobros』2-1 1997.5
 ・坂村健「デジタルミュージアム ―21世紀型分散博物館構想―」『Ourobros』4-3 2000.2
 ・鵜坂智則「マルチメディアMUDシステムによる仮想博物館」『Ourobros』5-1 2000.5
 ・坂村健 「電脳が博物館を変える──デジタルミュージアムIII展に向けて」『Ourobros』6-3 2002.1

国立歴史民俗博物館:デジタルミュージアム共同実験−縄文の記憶−(2000年度)


1月27日(日) 考古学研究会東京研究集会「東日本から集落研究を見直す」

1月26日(土) 江戸遺跡研究会第15回大会「江戸の祈り」

1月20日(日) 平成13年度千葉県遺跡調査研究発表会
 千葉市で行われた平成13年度千葉県遺跡調査研究発表会へ行ってきた。昨年見学させていただいた三直貝塚をはじめ下記の遺跡の発表と遺物等の展示があった。現在墓制に関して興味を持っているが、縄文を除けば全く分からない状況だったので志摩城跡の弥生再葬墓、奥房台遺跡の8世紀の方形区画墓、柴崎遺跡の土坑墓群、印内台遺跡群の12世紀の瑞花双鳳五花鏡と鏡箱の出土した土坑墓など各担当者にいろいろお聞きした。話を聞くとどれも興味深いもので、今後少しずつ勉強していきたいと思う。

【平成13年度千葉県遺跡調査研究発表会】
 日時:平成14年1月20日(日) 午前10:00〜午後3;30
 会場:千葉市文化センター(千葉中央ツインビル2号館)発表会場−3階ホール、
 展示会場・図書販売−5階市民サロン
 発表する遺跡と発表者:
  ・君津市三直貝塚(縄文時代,県:吉野健一)
  ・多古町志摩城跡(縄文時代〜中世,香取郡市:荒井世志紀)
  ・白浜町沢辺遺跡(古墳時代〜中世,総南:青木俊久)
  ・横芝町遠山瓜ヶ作谷他2遺跡(古墳時代,山武郡市:岩崎 祥)
  ・千葉市奥房台遺跡(古墳〜奈良・平安時代,千葉市:森本 剛)
  ・袖ケ浦市上大城遺跡(古墳〜奈良・平安時代,君津郡市:齋藤礼司郎)
  ・光町芝崎遺跡(縄文時代,奈良・平安時代〜中世,東総:道澤 明)
  ・船橋市印内台遺跡群(縄文時代,奈良・平安時代〜中世,船橋市:白井太郎)
  ・市原市片又木遺跡(古墳時代〜中世,市原市:北沢一弘・桜井敦史・石坂雅樹)
 主催:千葉県文化財法人連絡協議会、千葉市教育委員会(共催)
 後援:千葉県教育委員会
 入場料:無料(当日受付)

1月19日(土) 美術品としての史料  〜東博「時を越えて語るもの −史料と美術の名宝−」〜
 東京大学史料編纂所史料集百周年を記念して東京国立博物館で開かれている特別展「時を越えて語るもの −史料と美術の名宝−」を見に行った。東京大学史料編纂所については、私には大日本古文書等の膨大な文献資料のイメージしかなく、この特別展もあまり関心がなかったのだが、新聞記事や先に見に行った先輩の感想を聞き行ってみることにした。
 編纂所所蔵資料を中心に東博をはじめ各地から関連資料が集められており、予想以上に面白い展示だった。延喜式、尾張国郡司百姓等解、頼朝や足利将軍の書状を集めた歴代亀鑑、朝鮮国王や琉球国王の文書など一度は見てみたい資料も多いが、それよりも、文献資料だけでなく絵画資料が多数展示されていたこと、いくつかの資料が関連性を持って展示されていたことが大きい。
 絵画資料としては入口の後醍醐天皇像をはじめ、紫式部日記絵巻、男衾三郎絵巻、蒙古襲来絵詞、天子摂関御影、足利義政像など著名な資料も多数展示されている。そして、通常一場面程度が展示されることの多い、絵巻物もかなりの長さに渡って広げられており、物語の展開を楽しむことができる。広い展示室ならではである。その最たるものが琉球国絵図と薩摩国絵図の実大デジタル複製展示である。これは感動した。
 また、資料の関連性という点で言うと、霊木伝説を描いた因幡堂薬師縁起絵巻とその薬師像、藤原道長の日記である御堂関白記の経塚造営記事と実際に出土した鏡筒・経巻、あるいは幕末のペリー来航の際の絵画と遺族から東博に寄贈されたペリーの遺品などがセットで展示されているのも興味深い。

 さて、図録の冒頭には黒田日出男氏の「歴史と美術の〈対話〉」が載せられている。対話は概ね成功していると思われる。しかし、私には「史料としての美術品」よりも「美術品としての史料」の方が印象が強かった。前者は既に歴史展で積極的に行われているからだろうか。展示方法は「資料で」というよりも「資料を」というものであり、歴史展というよりは、美術展といえよう。やはり東博が会場だからだろうか。
 私はむしろ、ここに厳選された史料自体にそのような面白さが備わっているからだと考えてみた。史料を厳選すること自体、歴史学的ではないという気もするが、今回はそれは問わないことにしよう。

 この他、第2部として「東京大学史料編纂所のあゆみ」や第3部として「歴史学のデジタルミュージアム」もあった。いずれも面白いものであったが、後者については、今後見学予定の東大総合博物館のデジタルミュージアム展の際に取り上げたい。

東京国立博物館特別展 時を超えて語るもの−史料と美術の名宝−
東京大学史料編纂所時を超えて語るもの―史料と美術の名宝―


Copyright (c) 2002 Nakamura Kousaku
E-mail:info@jomongaku.net